episode 4 ページ5
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「食ったか。じゃあ俺の質問に答えろ」
え。「じゃあ」?やっぱりお粥に何か入ってた?
再び疑念を抱くが、赤髪に鋭い目で「いいな」と言われたので「はい」と言うしかなかった。
「お前、昨夜なんであの場所にいた?」
「えーっと、昨日は半年付き合ってた彼氏に振られまして……傷心状態で適当に歩いてて、冷静になってから引き返してたらたまたま見てしまいました」
「その彼氏は裏の人間か?」
「裏?ただの大学生ですよ」
「じゃあ……本当にただの偶然か?」
「はい。変な声が聞こえたので様子見てみたらって感じです」
「…………」
赤髪は口元に手を当てて何か考えているようだった。
てか、めっちゃ赤裸々に答えちゃったよ。どう考えても「彼氏に振られました」なんて初対面の男に言う必要なかったわ。なんで何も考えずに言っちゃったんだろ。
はぁ……と赤髪がため息をついた。
「俺の勘違いやったみたいや。人払い任せた奴らは後で罰しとかんとな……」
独り言を呟きながら、赤髪は床にあぐらをかいた状態から立ち上がった。
「邪魔したな」
僅かに謝罪の雰囲気漂う声色に、つい「いえ……」と言ってしまったが本心は真逆だった。ものすごく邪魔されたし。
しかし赤髪は気に留めなかったようで、踵を返し、部屋から出ていった。
「……っはー、こわ!こっわ!!結局あの人どういう立場の人!?こわ!!」
多分やばい組織のトップとかなんだろうけどほんとこわ!!よかった殺されなくて……!
心底安堵して全身の力が抜け、私は天井を仰ぎながらベッドに倒れ込んだ。
もう今日は何もしたくない。幸い授業少ない曜日だし、全部休んでやろ……。
「っ!?」
突如耳元で響き出した着信音に飛び起きてしまい、無駄な疲れを増やしたことを後悔しながらスマホを取る。
ライン電話の相手は――“うらたぬき”。
「……え……」
これ、あの変な外国人。いや顔は日本人だったんだけど、格好とかノリとかがアメリカで。
ってそんなことより、早く電話出ないと切れちゃう。
――でも、出たら絶対振り回される気がする!!
出る……!?出ない……!?
「……はい」
無視できなかった。
『よっ。今日何か予定あるか?』
「ないですけど……」
嫌な予感。今日は一日休もうと思っていたのに。
私の思いとは裏腹に、通話相手は“しめた”とばかりにハッと笑って言った。
『んじゃA。デート行こーぜ』
……どストレートー。
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エス(プロフ) - ノアさん» いやー!!続きが楽しみですね!一生付いてきます!これからと体は気をつけて更新ゆっくりでもいいので頑張ってください!それと続き編ありがとうございます! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ミルクショコラさん» 夏休みですか!最高ですよね!!短いのは残念ですが、是非とも満喫してください^^* (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - エスさん» そう言っていただけて嬉しいです!私もどうなるかわかりません笑 これからもお付き合いくださると嬉しいです! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 東雲さん» こちらこそありがとうございます!!長らくお待たせ致しました(汗) 続編移行したので是非これからもよろしくお願いします! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - わかさん» 私がきっかけなんですか!?めっちゃ嬉しいですありがとうございます……!これからも頑張ります! (2020年8月27日 17時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年9月5日 19時