Love Traps【urt】【skt】

episode 15 ページ16

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「じゃあもう一回いきまーす」

「はーい」

スタッフさんらしき呼びかけにうらたさんが返事をして、3、2……のカウントの後、スッと顔つきが変わる。

「てめえ、俺の女に何してんだ？」

今度の威圧感は、動けないほどではなかった。

――演技のことなんてよく知らないけれど、それでもなんとなく、うらたさんが飛び抜けて上手いことは見ていて感じ取れた。

すごい人なんだな……うらたさん。

彼の凄さを再認識していると、ちょうど休憩に入ったうらたさんがこちらを向いた。

気付かれたかと焦ったが、ギャラリーに笑顔で手を振っただけで、目が合うことはなかった。

安堵する間もなくギャラリーが発狂し、私は一人だけ無言で肩を揺らしてしまう。

びっくりした……。てか、買い物行くんだったわ。スーパー行こ。

くるりとうらたさんに背を向け、スーパーへの道に戻る。

しかし、それを引き止めるかのようにスマホが着信音を鳴らし出した。

「…………」

ものすごく嫌な予感がしながらも、スマホを短パンのポケットから出して確認する。

“うらたぬき”

……いや、まさかね。きっと休憩になったから電話してみたとかそんな感じ。あの距離と人混みで気付かれるわけない。

とはいえ怖いのでしばらく放置してみるが、全く切れそうな気配がない。

……出るしかなかった。

「……はい」

『帰んのか？見てくれてたんだろ』

その瞬間、電話を切るべくスマホを耳から離した。

『おい切るなよ』

しかしギリギリ鼓膜がその声を拾ってしまったので、私は再びスマホを耳に当てた。

「……なんで分かったんですか」

『なんとなく。なあ、お前もう昼食べた？』

「いえ、今から買いに行って作るところです」

そう答えると、うらたさんが微かに笑った。

『ちょうどいいじゃん。俺とどっか食い行こーぜ』

「……は？」

『昼休憩なんだよ。何食いたい？金の心配はしなくていいから、何でも言えよ』

「すみません、私行きません」

昼に何作るか決めてたし、完璧それの気分だったからごめんけどもう変えたくない。

私はきっぱりお断りした、のだが。

『……12時に〇〇な』

「え、今行かないって言――」

『俺待ってるから。お前が来るまで待ってる。来るまでは何も食べねえし撮影にも戻らねえ』

待って、それは。うらたさんだけじゃなく、撮影に関わってるいろんな人に迷惑が……。

『じゃ、そーゆーことで』

「待っ――」

切られた。かけ直したが繋がらなかった。

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