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本当に？
いつもそばにいてくれた、命も救ってくれた。
向けられる想いに涙が出るほど嬉しかった。
信じてもいいの？
信じたい、もっとずっとそばにいたい。
向けられる想いに、応えたい。
素直じゃなくて、悪戯ばかりで怒られているところをよく見るけど決してそれが誰かを傷つけることはない。
最初こそ認めてもらえなかったけど、真摯に向き合い知ろうと努力してくれた。
少し分かりづらくも泣きそうなほどの優しさと真っすぐさに何度も救われていた。
一度だけ、この一度だけ、信じる勇気がほしい。
ふるりと唇を震わせ、小さく口を開く。
小さく掠れた声がゾムの耳に届いた。
「…たす、けて」
一度零れた言葉は抑えきれない想いと涙と共に止まらない。
大粒の涙を零しながら堰をきったようなAに、ゾムも目を見開いた。
「ゾムさん、助けて…あの時私を救ってくれたように…」
言いながらその場に崩れ落ちるAを、ゾムが咄嗟に駆け寄り抱きとめる。
トントンはとっくにゾムを離しており、苦笑いしながらグルッペンを見た。
グルッペンもゾムの腕の中で泣き続けるAとそれにつられて泣きそうになっているゾムを見て思わず笑みを零した。
ある程度Aが落ち着いたところで、グルッペンは先ほどまでの総統としての無機質な声ではなく、優しさを含んだ声でAに問いかけた。
「さて、それではA殿は今ここより我々の同志となった。そうだな、Aと呼んでもいいか？」
「はい、どうかお好きなように呼んでください」
「それではA。我々の同志となったからには、望みを言う権利がある」
願いを問うグルッペンに、Aは少し考えこむように沈黙したがすぐに顔を上げて恐る恐るグルッペンに答えた。
「私は、私のお母様や屋敷の人たちも助けてほしいです。それと、例え戦争することとなっても、この戦争に大儀はありません。どうか、少しでもW国もX国も傷つかないでほしいです」
「ふっ…あははははは！聞いたかトン氏、新しい同志は存外強欲らしいぞ？」
「ま、元のAさんの性格を考えればわかりますけどね。自分以外全部救うなんて欲張りでしかないんやし」
うぐ、と唸るように恥ずかし気に目を逸らすAだが、グルッペンは愉快そうに口角を上げた。
「そうやな、我々の同志ならそれぐらいでなければ話にならん」
「それもしかしてワイも含まれとります？心外な」
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
