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「お前もしかして自分が無欲だと思ってるのか？大天使か？」
「黒歴史を掘り返すな！そもそもあんたの下にいる時点で無欲とは程遠いわ！」
「お前こそ普通に失敬やぞ」
いつものコントのようなやりとりに、張りつめていた糸が良い意味で切れたこともあり、Aの肩の力が抜けたことにゾムが気づいた。
Aを支えたまま気遣うように眉を下げて覗き込めば、Aはふわりと笑みを零す。
だがすぐに申し訳なさそうにゾムを見上げた。
「あの…この間のことは、本当にごめんなさい…。ゾムさんを傷つけるって分かってましたが…」
「せやな、めっちゃ傷ついた」
「…はい」
「けど、その分信じてくれるんやろ？」
優しい声色にまたAの涙腺が緩む。
それを分かって、ゾムは優しくAの頭を撫でた。
「俺を選んでくれたんはAやから、後悔させへんよ」
「はい、信じます。だからどうか、無事に帰ってきてください」
ゾムの服の裾を掴みながら祈るような言葉にゾムは小さく頷いた。
だが、目の前でそれを見逃せるほど、二人はある意味優しくなかった。
「俺も甘党の自覚はあるがここまで甘いとさすがに砂糖を吐きそうなんだゾ」
「ちょっと童帝には刺激が強すぎるんで他の奴らに拡散しときますね」
「それいいな、とりあえずシャオロンあたりでいいんじゃないか」
「初っ端から選択肢が極刑で草すぎるんやけど」
「お前らええ加減にせえよ！シャオロンに言ったら蹴り飛ばすからな？！」
玩具にされる気配を敏感に察したゾムが吠えてもトントンとグルッペンの意地の悪い笑みが消えることはなく。
ぐっと睨みつけるゾムにAも楽しそうに思わず笑みを零した時、トントンの耳元を指先で叩く仕草に気が付き、Aは首を傾げた。
「いやぁ、ねぇ？」
意地の悪い笑みのままトントンの愉快そうな声に、一泊置いてゾムが硬直した。
「ま、そういうことだ。諦めろ」
「な、なんっ…」
「さすがに何ではないやろ。大先生言うてへんかった？皆お前を心配しとったんやで？これくらいええやろ」
心配をかけた手前何も言えずに黙り込むゾム。
そんなゾムの耳元を覗き込むようにつま先立ちになったAは、ゾムの耳に小さなインカムがついているのに気が付いた。
ランプがついていないからゾムのインカムはオフになっている。
ということは、トントンのインカムはオンになっていたのだろう。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
