2度目の訪問【1】 ページ42
あの後泉くんが約束通り顔をだし、ようやく合格をもらえた司くん。これからも練習を見て欲しいと言われ、断る理由もない為引き受けた。
その翌日の今日。何故か泉くんと私の最寄り駅へと向かっていた。
「泉くん？一体どこになんの用……？」
「あのアホの家。印鑑もらいに」
アホて。確かにちょっとアホっぽい所あるけど。口は悪いけど根は優しい……はず。私はそう信じている。そうじゃなければ今の今までKnightsを守って来なかったはずだから。今Knightsが存続しているのは泉くんが守って来たから。
チャイムを押して出てきたのはるかちゃん。今にも泣き出しそうな表情。これはレオくんに何かあったのかな。
隣で見守っていると奥からレオくんが顔を出していた。兄妹そろってやる事が可愛いけど、今はそんな事を考えている場合ではないなぁ……。また後日来てみよう。
「それじゃ、印鑑押したらAちゃんに渡して」
「え、私？」
「お姉ちゃん、明日来てくれる？」
2人して私に視線を向ける。これは拒否出来ないな。奥から未だにレオくんが見てるし。
「わかったよ……明日朝来るね」
「それじゃ、俺帰るからAちゃんあとよろしく」
それだけ言い残して泉くんは帰ってしまった。私も帰ろうと口を開いた瞬間、るかちゃんに制服の裾を掴まれてしまった。
「るかちゃん……？」
「お姉ちゃんからも、お兄ちゃんにご飯食べるように言って欲しいの……」
「えっと……まだご飯食べてないのレオくん」
言いながらレオくんを見ると気まずそうに目を逸らす。泉くんが言っても微妙だったからなぁ。また私で何か役に立てるならいいんだけど。
「わかった。ちょっとお邪魔するね」
「お姉ちゃん……いつもごめんね」
「るかちゃんは謝らなくて大丈夫だよ」
泣きそうな、不安そうな表情のるかちゃんの頭を撫でてレオくんの部屋へ向かう。レオくんが扉を閉じようとした瞬間、慌てて手で止める。
「あっぶな指挟むかと思った……」
「危ないだろ……怪我したらどうすんだ」
「でもレオくんは寸前で止めてくれた。お邪魔するね」
レオくんの許可が出る前に部屋に入る。五線譜が散らばっているけど、また無理に作曲しようとしたのかな。それよりも睡眠の次は食事か。なんとか寝れるようにはなったけど(私が電話したりして)食事に関して私が出来ることは無さそうなんだけど。
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作者名：のあ | 作成日時：2022年6月8日 0時
