初対面の2人【1】 ページ26
結局羽風くんが着いてきたまま待ち合わせ場所まで向かう事になってしまった。さすがにしつこいので立ち止まって聞いてみる事にした。
「あのー羽風くん。どこまで着いてくるの？」
「えー？たんぽぽちゃんとデートしたいから待ってようかなって」
待ってるつもりなの？私の用事が終わるのを？そこまでデートしたいのこの人……。というかたんぽぽって呼ぶの何。
「まずたんぽぽって呼ぶのやめて欲しいんだけど」
「えーじゃあAちゃん。俺とデートしようよ、用事が終わった後でいいからさ〜」
「しません。あと人と待ち合わせだから」
「待ち合わせって男？」
何この別れる寸前のカップルのようなナンパのような……いや、後者か。隣のクラスって事は泉くんと同じクラスって事だよね。これどうなるんだろう。
そんな事を考えながら校舎を出ようとすると、既に泉くんが待っていた。
「あれ、せなっち？」
「は、なんであんたとAちゃんが一緒にいるわけぇ？」
羽風くんはさっきと変わらないけれど、泉くんは一気に険しい顔になった。私と目が合った時は嬉しそうにしてた気がしたんだけど。
「さっきまで一緒にいたからだよ。ね、Aちゃん」
「ちょっとそれどういう意味！？」
「違う、泉くん何か誤解してない？」
誤解を招く言い方はやめて欲しい。あれでは2人っきりで居たように思われてしまう。泉くんの顔がどんどん怖くなっていくのを見て間に入る事にした。
「さっきまでUNDEADの人達と一緒だったの」
「それならそうと言ってよねぇ。ほら、行くよAちゃん」
「今度はデートしようね〜Aちゃん」
私が説明するとあっさり信じた泉くん。羽風くんがしつこくデートのお誘いをしてくるが、泉くんが私と手を繋いで歩き出した為着いてくるのは諦めたみたい。歩くのが早いから追いかけるのがやっとで羽風くんに断りを入れる事は出来なかった。
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作者名：のあ | 作成日時：2022年6月8日 0時
