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第10話(A side) ページ10

「‥‥‥‥さて、どうするか」


家主が出ていった部屋で、顔を見合わせる。
もちろんまだぬいぐるみのままだ。


「‥‥多分、Aさん?‥‥に、俺達の言葉伝わってないよな」
「‥‥多分な」


この姿のままでも普通に会話が出来る俺たちと違って、あの家主からしたら別の言葉で聞こえているんだろう。
時折、FBやきっくんの問いかけに首を傾げたり、全然検討違いの答えを返してくる家主を思い出す。あいつの言葉は、俺たちにでもわかるのに。

「‥‥だとしたら、助けてくれって言っても伝わらないわけか」
「‥‥いや、それはさ、伝わったとしても、あの子じゃどうにもできなくない?」
「‥‥確かに」

きっくんのツッコミに、妙に納得してしまう。
俺たちでさえ、何がどうなってこんな事になってるかわかっていない。やけに短くなった自分の手を見つめて、はぁ、とため息をこぼす。

「昨日、1回戻れたのはなんだったんだろうな」

えおえおが、時計を見上げながら呟いた。

「なー!あのまま戻れんのかと思ってビビったわ!」
「ソッコーでまたこの人形になった時のお前らの顔マジウケた」
「ヒト事じゃねーんだぞきくお!!」

えおえおが言うには、24時5分になった瞬間にぬいぐるみに戻ったという。人間に戻った時の時間は誰も覚えてないから、これはただの推測ではあるが、


「‥‥シンデレラタイムか」


夜中の12時から、5分間だけ。

「‥‥三十路超えたおっさんのシンデレラタイムかよ‥‥」
「結構キモイな」
「‥‥この姿も大概キモイけどな」

しかし、この5分をどう使うかに、俺たちの今後がかかってくると言っても過言ではないのかもしれない。

「‥‥今夜、その5分間また人間に戻れたとしたら、どうするよ」

俺が問いかければ、ぬいぐるみ姿のキモイ男どもは、はて、と首をかしげている。

‥‥‥‥馬鹿共が。


「‥‥‥‥家主に接触するかしねーかどうすんだって聞いてんだよクズども」
「‥‥家主って‥‥Aちゃん?」
「他に誰がいんだよ」


俺的には、人間の姿は見せないほうが良いと思っている。

というのも、普段はこのぬいぐるみの姿とは言え、中身がただのおっさんだと分かれば途端に家主は生活しにくくなるだろうからだ。

「幸いな事に、過度なパニックも起こさず流れに身を任せるタイプの放漫な女だったから、こうしてゆっくり考える時間がある」
「‥‥とりあえずは、黙っといた方が良さそうだね‥‥」


FBの一言に、俺達は静かに頷いた。


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こばやし(プロフ) - ももっとさん» こちらにもありがとうございます!意外とこういう変わり種が好きな方がいらっしゃって嬉しいです笑 ほどほどにやらかしつつ、これからも頑張ります!笑 (2017年7月21日 2時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
ももっと(プロフ) - 最近の作品から手繰らせて頂きました……本当に好きです……本当に……可愛すぎ…… (2017年7月21日 1時) (レス) id: a5964b6165 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雑帽笑笑!次作も頑張ってください( ; ; )ほんとに応援してまーす! (2017年6月19日 23時) (レス) id: 4434e0f296 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - えなさん» お世話様です!いつもありがとうございますっ!次もお楽しみ頂けるよう頑張りますので、何卒よろしくお願いしますっ!! (2017年6月19日 23時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)
こばやし(プロフ) - らなかさん» コメントありがとうございます!5週!!??読み返せば読み返すほどアラが出てしまうので御手柔らかにお願いしますっ!!笑 (2017年6月19日 23時) (レス) id: 110986f160 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こばやし | 作成日時:2017年6月14日 21時

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