【MSS.P】ほうまんやぬしとぼくらのひび【ちびーず】

最終話 ページ30

そして次の日。


｢なんでこうなるのかな｣

仕事終わり。
帰宅して、玄関を見て、はぁ、と大きなため息が出た。


｢あ！Aちゃんおかえりー！！｣
｢お疲れ様ー！！｣


バタバタと、リビングから駆け寄ってくる大の大人が２人。

嬉しそうなえふびーときっくんを、ジト目で見上げている。




何故ここにいる？



｢‥‥なんでいるんですか｣
｢なんでって、昨日もいたじゃん！｣
｢それはそうですけどなんか違う‥‥｣
｢まぁ細かいこと気にすんなって｣
｢あ、俺は無理矢理連れてこられただけなんで｣

えおえおがリビングの隅で体育座りで小さくなっている。いや、無理矢理だとしてもさ。

｢どうやって入ったんですか｣
｢秘密ーっ｣
｢まぁまぁ！座って座って！｣

手を引かれ、忙しなくテーブルの前に座らされる。
一人暮らしの1Kだ。大人が5人も居ると恐ろしく窮屈に感じる。

終始眉を潜めて彼らの動向を見守っていれば、わたしの隣にどっかりと、あろまが座り込んだ。

｢んな仏頂面すんなって。恩返しに来たんだよ｣
｢‥‥いやほんとに、別に気にして頂かなくても、｣
｢俺らがやなの！！｣
｢っ！｣



ばん！


目の前に、お皿が降ってきた。

ほわほわと湯気をたてるのは、美味しそうなハンバーグ。


｢さぁAちゃん！食べて食べて！｣
｢仕事終わりで腹減ってるだろ？｣
｢俺も食いたい｣
｢お前は冷凍ハンバーグでも食ってろ！！｣


騒がしい彼らを、ぽかんと見上げる。


目が合うと、にっ、と笑って。



｢これから１週間ちょっとの間、Aちゃんにお世話になった分以上に、Aちゃんをおもてなしさせていただきますっ！！！｣
｢ま、出来ることは少ないけどぬぇー！！｣
｢可愛がってやるから覚悟しとけよ｣
｢俺は止めたんですよ、ええ｣
｢‥‥‥‥｣



矢継ぎ早に言われて、しかもハンバーグがめちゃくちゃに美味しそうで、言葉につまる。


｢もう可愛さで癒すことは出来ないけど、喜ばせることなら俺ら得意だから！｣


これはつるの恩返しならぬ、ぬいぐるみの恩返しという事だろうか。


｢Aちゃん、嬉しい？｣


きっくんに顔をのぞき込まれる。


確認する事ですか、それ。


｢‥‥わたしの家のキッチン使っといて、恩返しってなんですか｣
｢うおー！痛いとこつかれた！！｣


思わず笑えば、みんなも笑う。


こういうのも意外と、悪くないかも。



｢さ、今日もみんなで風呂入るか！｣
｢それはない｣
｢なんでさ！！！｣




END

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