第105話「来客対応」 ページ21
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「行くよ」
「えっ、どちらへ」
「頭の固いジジイのとこ」
「ごめんもうちょい説明くれる?」
端的過ぎて逆に意味不明なんだけど。
歩き出した悟お坊ちゃまの後を追う。
職員室を抜けて、長い長い廊下を歩いた。
「夜蛾はまだかのぉ。老い先短い年寄りの時間は高くつくぞ」
「………なんか中の人怒ってない?」
「いいから開けて」
りょ。
「失礼します」と声をかけ、カラリと襖を開ける。あっノック忘れた。
「夜蛾学長はしばらく来ないよ。嘘の
しかし悟お坊ちゃまは構うことなくズンズン進んで中へ入っていく。すげーなあの態度とか思いながら私も続いて入って襖を閉める。つーか( )の中よ。
中は広い応接室のような部屋だった。
ソファーには枯れ木みたいなおじいちゃんが座っていて、壁際に一人の少女が立っていた。
おじいちゃんの向かい側にあるソファーに我が物顔で座った悟お坊ちゃまを尻目に、私はなんとなく少女と距離を取りつつ横に立った。
視線を感じたけど気付かないフリをする。
「その節はどーも」
「はて、その節とは」
「とぼけるなよジジィ、虎杖悠仁のことだ。保守派筆頭のアンタも一枚噛んでんだろ」
うわーなんかバチバチしてる。
真顔でそれを眺めつつ、後であのボロクソにされた建物どうしようかとか考える。
「やれやれ最近の若者は。敬語もろくに使えんのか」
「ハナから敬う気がねーんだよ。最近の老人は主語がデカくて参るよホント」
「ちょっと」
それはまるで、あれだ、鶴の一声ってやつ。
男たちの声の中にすんなり入る高い声。可愛い声だなあ。
そんで隣の子が発したんだなあ。
「これは問題行動ですよ。然るべき所に報告させてもらいますからね」
その言葉に、目を少女の方に向けて、なんとなく拳を握る。
「A」
その声にすぐさま手の力を緩め、パーにした。
前に視線を戻したけど、悟お坊ちゃまはおじいちゃんの方を見ていた。
「、A……?」
「ご自由に。こっちも長話する気はないよ」
おじいちゃんの言葉を遮るように悟お坊ちゃまはそう言った。
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なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵なお話ありがとうございます!! (9月17日 23時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです!あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい! (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです!更新頑張ってください! (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月30日 19時