私、悟お坊ちゃまの “元” 専属メイドです。【呪術廻戦】

第66話「 手 」 ページ22

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「出かけるよ、悠仁」

「えぇ！？」

「課外授業。呪術戦の頂点、「領域展開」について教えてあげる」



知らない単語がポンポン出たが、敢えて知ってますよの体を保ち彼の横で仁王立ちをする。

「いやホント、誰なんその人」と突っ込まれたから簡潔に「メイドです」とだけ答えた。



「メイド！？なんで？先生とかじゃなくて？」

「私はメイド。主人は悟お坊ちゃま」

「お坊ちゃま！？！？」

「昔の設定をずっと引き摺ってるだけだよ」



いやだって、私の中の君は未だに小学生の頃の君だから。

成長期半端ねーなと随分高いところにある綺麗なご尊顔を下から眺めていたら「A。手」と、昔より骨張っているが綺麗で大きな手を出された。


直ぐには答えられなかった。
ちょっとその手を見て、彼の目を見る。



「………」

「………」

「えっ何この空間。ツッコミ待ちだったりする？」



それでも良いかもしれない。君の手で切り裂いて、遠い日の記憶をメリッサ。


………いやいやいや違う、何を戸惑ってるんだ私は。現実逃避も大概にしろ。
彼は紛れもなくあの五条家お坊ちゃまの悟様。さっきまで納得して、ずっと私を守ったまま戦ってたじゃないか。

君の強さは昔から知ってるけどそれを遥かに凌駕して、今の君はきっと誰よりも強くなった。


その過程を見られなかったのが心底悔しいし歯痒いが、でも………君の中の根本的なところは何も変わってない。



故に、この手を取らない理由なんて何処にもない。



「………わん」



私は君の元従者で、元メイドで、そして友達。
犬さが抜けないのは昔からの習慣だから許してくれ。



「えっ、マジでどういう関係……？？」



心底不思議そうに首を傾げる少年に対し、私の手を取りきゅっと握った彼は、心底愉快そうに口元に弧を描いていた。



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