私、悟お坊ちゃまの “元” 専属メイドです。【呪術廻戦】

第65話「小さな意趣返し」 ページ21

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そんな悟お坊ちゃまは「ちょっと寄り道するよ〜」と呑気な声を出す。えっアイツ放置するの？君が決めた事なら従いますけど。

するとどうだろう、いつの間にか見知らぬ部屋へ来た。ああいつもの瞬間移動。でも懐かしく感じてちょっとだけセンチメンタルな気分になった。


地面にようやく降ろされた。そんな時「あっ」と悟お坊ちゃまは思い出したかのように声を上げる。



「そういやごめん。手、忘れてた」

「………？あれって絶対必要じゃないんでしょ？」

「気分の問題だよ」



はてな。君にそんな気分とかあるの？

慣れたように暗い廊下を進み階段を降りていく悟お坊ちゃまを追いかけていく。長めのスカートの裾を掴んで、なるべく淑やかに。こういった作法は使用人ズの先輩たちと悟お坊ちゃまに叩き込まれた。


……先輩たち、元気かな？



革靴で階段を降りていく音の他に、誰かの話し声が先の方から聞こえてくる。
やがてぼんやりと光が見えた。その前で、見知らぬ少年が画面を食い入るように見つめている。

誰だ？



「悠仁」



私たちに全く気付く様子もなく真剣な眼差しで映画を観ていた少年に悟お坊ちゃまが構わず声をかければ、ビクリと効果音が付きそうなほど少年の肩が大きく跳ねた。


他人の事情など知ったこっちゃねえと言わんばかりに自分の意思を貫く態度、そういう図太い精神は見習いたいですな。

すぐさまチラッと振り返られたので咄嗟に視線を逸らした。だからなんで心の声が聞こえてんだ。私の顔はそこまで正直なのか。



「五条先生！？………と、誰？」

「ああいいよ、気にしないで」

「えっ！？」

「あっ、私のことはお構いなく」

「ええっ！？」



やけに素直な反応をするなこの子。……って、「先生」？


え？悟お坊ちゃま、先生なの？
直ぐ横を見て、目線で訴えかけたが何処吹く風と言うかのようにスルーされた。貴様、さっきの仕返しか。



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