第35話「路端の草々」 ページ35
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「そんなにも嫌ですか」
「教師を変えろ。俺の主張が通らないなら永遠に帰らねーと思え」
「あんなパフパフ出来そうなお姉さん拒絶するなんて何考えてんですか!」
「お前が何考えてんだよ気色悪りぃ」
「あれじゃないですか、いわゆる美人局的な」
「辞書引いて意味を知ってから発言しろ馬鹿、知ったかぶりで話すんじゃねえ今に後悔するぞお前」
確かにそれはある。
しかしいい加減疲れた。もうそろそろ解放してほしい、犬と言えど体力があるんですよお坊ちゃま。今普通に犬の気持ちになって考えてたけど私は人間。私は人間。私は人間……
「あれですお坊ちゃま。あのお姉さんが嫌ならいっそのこと私が教師になりませう」
「寝言は寝て言え低脳。お前に教えられるくらいならチンパンジーに頼むわ」
「チンパン以下なの私の知能?」
普通に酷い。でもその通りか。私の担当科目は体育が妥当だと自負します。
木の上のお坊ちゃまは警戒心がスゴイ猫みたいに私を睨んでいるので相当嫌なんだなあと分かってしまった。そこまで香水の匂いが嫌いなら今度から柔軟剤を使うの控えよう。
木に背をつけ、そのまま凭れ掛かるように座る。
君がいつまでも意地張ってんならいつまでも帰れないな。
「悟お坊ちゃま、寒くないです?毛布とか持ってきますよ」
「急に掌返してなんだ、今度はどんな作戦を思い付いた?」
「分かってるでしょ、私にそんな知能無いですよ。お坊ちゃまが帰りたくないなら私も帰りません。それに従者としてあなたの盾にならなきゃならないから、このまま一緒にいます」
「また怒られるだろ、お前」
「大丈夫です。慣れてます。殴られるのも罵倒されるのも。
そんなことより、もっと子供は自由に生きなきゃなんないと思うんですよ。大人が縛っちゃダメだと思うんですよ。私は死ぬほど自由に生きてきました。だから今の自分があると思うんです」
「確かにお前、自由に育ち過ぎてコンクリートすら突き抜けた雑草みたいな生き様だもんな」
「前にドクダミ食わそうとしたことは未だに覚えてるからなこの野郎」
「雑草から連想して思い出してんじゃねーよ」
木に背を付けながらそんな事を話す。
久し振りにこんな自然の中でゆったりする気がする。
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第36話「深く深く、そのまた奥へ」→←第34話「家庭教師のお姉さん」
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ツナ(プロフ) - 話しの内容がすごく好きでした (2021年1月2日 20時) (レス) id: 60d9289c8a (このIDを非表示/違反報告)
腐りかけの果物(プロフ) - どうもこんばんは、見直してたら腐りかけの林檎が出てきて改めて私の名前と一致かと思いましたが私の場合果物でした (2020年12月8日 20時) (レス) id: 4dd29108fd (このIDを非表示/違反報告)
なて(プロフ) - 給料どんどん減ってくの好きです。 (2020年12月7日 19時) (レス) id: e2a15ae5f0 (このIDを非表示/違反報告)
ことこと - もう、pixivで書いてきたらどうですか・・・ (2020年12月2日 17時) (レス) id: 360ee8aa85 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 一章完結おめでとうございます!!最後泣きました!2章がどうなっていくのかが楽しみです!! (2020年11月22日 15時) (レス) id: af1bba7450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月15日 10時