51. - Is this the usual ? - ページ1
side K.N.
---------- -----
あの後、収録があるにも関わらず泣いちゃったから目が腫れて俺を含め泣いた三人はマネージャーにこっぴどく叱られた。
ただ、事情はちゃんと理解してくれているから怒られた後は色々手を焼いてくれて。
それに、みんなに自分の口から言えて良かったし、やっと口にする事が出来て少しだけど心が軽くなった気がする。
収録はまだ激しい運動を控えるように言われていたから軽く参加出来るものに絞ってみんなのサポートに回るような形をとったんだけど、それでもどっと疲れが来る。
でも、みんなと笑い合えるこの空間がすごく愛おしくて気づけば収録は終わってた。
「お疲れ様でした、体調大丈夫ですか…？」
帰りの車の中で控えめに訊いてきたマネージャー。
「うん、平気だよ。それより、ごめん」
「いえ、すみませんでした。事情は分かっているつもりでしたのに…」
「いや、あれは俺の話すタイミングが悪かったから…ありがと、もう気にしないで」
プロなんだから、撮影の前に目を腫らすなんて論外なわけであって。
俺らの周りの人、例えば番組のスタッフさん達だったら顔を見てもきっと気を遣って声をかけてはこないだろうから、寧ろきちんと感謝すべきだと思った。
「では、明日は九時に。雑誌の取材、その後映画の打ち合わせがありますのでよろしくお願いします」
「了解、じゃ」
「お疲れ様でした」
ふと、大事な事を言い忘れているのに気づいた。
「あ…っと、来週病院行くから調整お願いできるかな」
「了解しました、おやすみなさい」
病院、っていうのは通院治療を受ける為。
退院した日から数週間に一度、病院に通って治療を行わないといけなくて。
手術だけで治ってしまえばよかったんだけど、そうもいかなくて…
だけど、今こうして仕事が出来るのはハッキリ言って薬のおかげなわけだから、こればっかりは投げ出す事も出来ない。
辛い事が多いけど、みんなが支えてくれるし、四人と共に時間を過ごしていく為なら何にでも耐えられる気さえしていた。
.
あっという間にその日が来た。
点滴で薬を入れてるんだけど、途中から副作用が辛くて。
病気になる役が来た時に教えてもらったりはしたけど、想像を遥かに上回る辛さ。
誰かにそばにいて…って思うけど、こんな姿誰にも見られたくない。
辛い、苦しい…ただ、それだけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美菜子 | 作成日時：2018年6月29日 23時
