例えば大切な人が2 (ページ2)

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side K.N.
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目を覚ますと、点滴薬もあと少しのところまできていた。

吐き気止めが追加されてて、大分ラク。

でもまだボーッとしてて、変なかんじ。

五分もしないうちに針を抜いてもらって、帰れる事になった。

自分で運転できなかったらどうしようもないなって思ってタクシーで来てたし、帰りも呼ぶかな…

スマホの電源を入れるとマネージャーから何度か着信が。

なんかあったのかな…って心配で掛け直そうとしたらまた電話が。

「はい、どした？」

『あ…今どちらですか？』

「どこって、病院だけど」

『もう終わりました？』

「うん、ついさっき」

『でしたら、駐車場まで出て来てもらえますか』

「……ん？」

一瞬、意味が分からなかったんだけど駐車場まで出ると見慣れた車が止まってた。

走って行く気力もなくてゆっくり近づいていくと、やっぱりマネージャーだった。

「ちょっと、なんで…」

「時間が空いてたので…乗ってください」

「まじでありがとう」

「いえ」

ニコって笑いかけてくれたマネージャー。

やっぱり知ってる人だと安心するなあ…

「気分はどうですか？」

「うん、まあ…良くはないかも」

嘘はつけない。

嘘はすぐバレちゃうって身にしみて感じてるから。

「そうですよね…そんな時に申し訳ないのですが、明日は収録日です。二本連続なのですが…」

「ん…分かった」

「できるだけサポートしますがどうしても辛い時は言ってください。対策を考えますので…」

「大丈夫だよ、そんな大袈裟な事じゃないし…送ってくれてありがと、また明日」

「はい、ゆっくり休んでくださいね」

なんだか近頃心配かけすぎてて申し訳ない。

なんだろう、このどうしようもない辛さ。

身体的にってのは勿論だけど、みんなを心配させる方が嫌だ。

もう疲れ果ててたし、早めにシャワーを浴びてテレビもスマホも見ず、もはやゲームをやる気力さえもなかった。

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収録は何とかこなした。

その次の日からは大分マシになって、油断したんだ…

治療を受けて五日目くらいの夜、夢を見た。

夢の中の自分は熱を出しているのか、身体が熱くて、人恋しくて。

誰かそばにいて…願った瞬間、目が覚めた。

夢の続きなんじゃないかと錯覚してしまうほど身体が熱いことに気づく。

ああ、熱は現実だったんだ…冷静に判断した。