目と鼻の先 ページ25
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――銀さんにお供をしてもらったあの買い出しの日から、ちょうど一週間。今週も回ってきた和菓子屋の定休日に、…私はというと。
「言っとっけど俺ァついてかねーからな」
「…わかってます」
「いや絶対わかってなかっただろ絶対ついてきてもらう気でいただろ」
「……いませんから!」
――大きな門の、すぐ近くにいた。……“真選組屯所”と書かれたそれの目と鼻の先に。
ここへ来た理由というのは言うまでもない。とうとう潮時が来たのである。来てしまったのである。
ほんの数メートル歩けば辿りついてしまうだろう門をじぃと見つめ、そののち銀さんを見上げ。
「………もしものことがあれば骨を拾ってください」
「お前は自分の弟をどんなモンスターだと思ってんだよ」
「モンスターじゃないですか」
「まぁモンスターだけど」
交わした軽口は軽口という名のままでいてくれることを祈るばかりである。間違っても現実になりませんように、と切に願い、……そして。
「――じゃ、行ってきますね」
「おー、生還しろよ」
大きな大きなその門へ向けて、一歩足を踏み出したのだった。
*
「――ご、めんくださーい」
――真選組屯所の門前に到着してから、数分。数百秒にわたるためらいを振り切った私はそんな声を上げた。門の近くにいた隊士らしき男の人が「どうかされました?」とこちらを振り向く。
(………どうかしたか、)
あれ私どうしたんだっけ何言えばいいんだっけ、そんな混乱に飲まれかけてギリギリのとことで脱出。「近藤さんいらっしゃいますか?」と鳴り響く心臓の音をBGMに言った。
「局長、ですか?」
「はい、近藤さんです」
流石にここで総悟と対面するほどの勇気はないし…、それに常識的に考えてもまずは近藤さんから報告せねばならない。弟に報告せず越してきた時点で常識云々言えないとかそんなことは気にせずにおき。
「…本当に局長に用があるんですか?」
「え、あの!怪しいものじゃありませんから!」
「いやそれはわかってますよ!だけど…、……うーん、まぁいいです。とりあえず局長呼んできますね、人違いなら言ってください」
何かを気にしているようではあったけどともかく近藤さんを呼びに行ってくれるらしき男の人。……いやはや、
(――第一関門、突破?)
無論、安心するにはまだ早いんだけれども。
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中村(平日浮上なし)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたヽ(*´∀`)ノ亀更新にお付き合い頂きありがとうございます!!嬉しいお言葉も沢山頂けて嬉しい限りです…!! 次巻では多少進展させられると思うので…よかったらまたよろしくお願いします!(^^ (2017年2月11日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お疲れさまでした!次巻も拝見させて頂きます! (2017年2月11日 20時) (レス) id: 20b4c6b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
主任(プロフ) - 中村さんの作品いつも楽しみに見させていただいております(^_^)今回も最高でございます…また生きる糧を頂戴致します(^_^) (2017年2月11日 19時) (レス) id: 55077c071d (このIDを非表示/違反報告)
唯月 - 凄く面白いです!更新は大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年1月28日 22時) (レス) id: 9cd5d172ad (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 私も田舎の方に住んでるので何かと共感できる部分が多くて嬉しいですw銀さんが用心棒……心強いですね。これからの展開が楽しみです。 (2017年1月28日 22時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2017年1月4日 20時