田舎者ゆえの ページ18
――――――
――久しぶりに人へ罵倒の言葉をぶつけてしまったあの日から、早いことで三日。…本日は水曜日で、お店の定休日という名の休日を得た私はというと。
「――すみません、呼び立てちゃって」
「別料金だぞコラ」
まるでいつもの朝のように、我がアパートの前にて銀さんと言葉を交わしていた。……それというのも。
「――んで、なんだ。買い物?」
そう、買い物である。
事の始まりはつい三日前、お店で銀さんと話していたときのこと。
他愛ない会話を交わすうちとあることを思い出した私は銀さんに今日の予定を聞き、…ふざけた言葉を返されたので思わずバカとかなんとか言ってしまい――その後依頼を繰り出したのだ。
…依頼の内容というのは実に単純、実に恥ずかしいもの。一言で言ってしまえば“買い物の付き添い”で。
私は知っての通りお江戸へ出てきて一ヶ月ほどしか経っていない田舎者だ。未だ慣れないことのほうが多く――例えば、買い出しとか。
流石に毎日使う食材やらは近くのスーパーで手に入るけれど、この世の中それだけで生きていけるわけじゃない。お給金も入ったし、ひと月暮らすうちに必要となってきたものを買い足さねば、と思っていた。………んだけれど、しかし。
…しかし田舎者の性というかなんというか、どうにも人ごみが怖いのである。そして道もわけがわからない。
買い出しに出かけたとしてもとても無事で帰ってこられるとは思えず、これはどうしたものだろうか、……なんて頭を悩ませていた時に浮かんできたのが彼の顔であり。
お江戸に店を構えているということはつまり、それなりに都会人であるということだ。ほかに頼れる人も思いつかなかった――わけじゃないけども、まぁ今は銀さんしかいないし。
「今日一日、ご迷惑おかけします」
「おうよ。迷惑料ぶん取ってやらァ」
結局私はその人へ依頼するという形をとったのである。こんな依頼にも応じてくれるんだから万事屋さんとはいい職業だ。需要と供給。
ともかく今日買う予定の物たちを端から銀さんへ伝えてみれば「んじゃとりあえずこっちだな」なんて。迷いなく進むその足はまさに都会人のそれだなぁ、とぼんやり考え――いや、置いてかれる!
「――はぐれたら私本当に帰れなくなりますからね!」
「んなこと言ってる暇あったら足動かせー。短足かお前」
「比率の問題です!」
ずんずん進んでいく銀さんの後ろに、私は早歩きで続いたのだった。
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中村(平日浮上なし)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたヽ(*´∀`)ノ亀更新にお付き合い頂きありがとうございます!!嬉しいお言葉も沢山頂けて嬉しい限りです…!! 次巻では多少進展させられると思うので…よかったらまたよろしくお願いします!(^^ (2017年2月11日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お疲れさまでした!次巻も拝見させて頂きます! (2017年2月11日 20時) (レス) id: 20b4c6b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
主任(プロフ) - 中村さんの作品いつも楽しみに見させていただいております(^_^)今回も最高でございます…また生きる糧を頂戴致します(^_^) (2017年2月11日 19時) (レス) id: 55077c071d (このIDを非表示/違反報告)
唯月 - 凄く面白いです!更新は大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年1月28日 22時) (レス) id: 9cd5d172ad (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 私も田舎の方に住んでるので何かと共感できる部分が多くて嬉しいですw銀さんが用心棒……心強いですね。これからの展開が楽しみです。 (2017年1月28日 22時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2017年1月4日 20時