ありのまま ページ13
「銀さん銀さん、ひとつ聞いてもいいですか?」
昨日初めて会った割には、弟というつながりもあったせいか大分呼び慣れてしまったその名。呼んでそう聞けば「どうした」といたって普通のトーンで返してくれた。
そして、私の聞きたいことはというと。
「――弟について、なんですけど」
「弟?」
「はい。…どんな様子かなぁ、と」
それは今日、いつどうやって総悟へ上京云々を伝えようかと迷っているうちにたどりついた疑問で。
昔から何をやるにも要領だけはいい奴だったからあまり心配はしていないけど、やはり気になるのが姉心というもの。
私が少しの心配を滲ませる一方、ちらり、私の方を一瞥した銀さんは「ブラコンじゃねーか」と。とてもムッとした。
「ブラコンじゃないです、断じて。…それでどうなんですか」
「分かったからそうムキになるなよ、人類みなブラコンだろ。……で、なんだっけ沖田クン?」
「人類みな…?…まぁいいですけど…。そうです、総悟です」
銀さん多少なりとも関わりあるんですよね?と付け足す。「……そりゃ関わりはあるぞ」なんて言った銀さんの顔はしかし、しかめっ面であった。
「……どうかしました?」
「いや、アレだ。お前自分の弟に希望抱いてるタチか」
「…はいィ?」
「……美化された弟像とありのままの弟像、どっちが聞きたい」
何を言っているんだろうとは思うけど、彼の顔はいたって真剣だ。つまりそんなに総悟の現状は刺激が強いというわけか。…これは私もちょっとは覚悟したほうが良さそう。
「もちろん後者でお願いします」
「いいんだなお前、姉弟仲良くレリゴーとはいかねーぞ」
「どんな忠告ですか、それ」
そもそもいつの話だ。中々に古い。田舎者の私がいうのだから間違いなく流行遅れだと思う。
でも、「流行は一周してんの、これだから田舎もんは」という銀さんの言葉にそんなものなのかと首を傾げていると。
「――そんで、沖田くんだ」
銀さんが逸れかけた話題を本題へ戻した。私も真面目な顔でその顔を見上げる。
さてどんな衝撃的な言葉が降ってくるかと身構えていれば――…。
「一言で言えば、加虐趣味に目覚めてるな」
「……かぎゃくしゅみ?」
「ドのつくサディストだぞ、今」
加虐趣味、サディスト。普段あまり耳にすることのない言葉たちに眉根を寄せた。
確かに昔から人をからかうのが好きな奴だったけど、…まさか悪化したのか、それが。
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中村(平日浮上なし)(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!お陰様で一巻完結とさせていただきましたヽ(*´∀`)ノ亀更新にお付き合い頂きありがとうございます!!嬉しいお言葉も沢山頂けて嬉しい限りです…!! 次巻では多少進展させられると思うので…よかったらまたよろしくお願いします!(^^ (2017年2月11日 21時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お疲れさまでした!次巻も拝見させて頂きます! (2017年2月11日 20時) (レス) id: 20b4c6b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
主任(プロフ) - 中村さんの作品いつも楽しみに見させていただいております(^_^)今回も最高でございます…また生きる糧を頂戴致します(^_^) (2017年2月11日 19時) (レス) id: 55077c071d (このIDを非表示/違反報告)
唯月 - 凄く面白いです!更新は大変だと思いますが、これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年1月28日 22時) (レス) id: 9cd5d172ad (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 私も田舎の方に住んでるので何かと共感できる部分が多くて嬉しいですw銀さんが用心棒……心強いですね。これからの展開が楽しみです。 (2017年1月28日 22時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2017年1月4日 20時