微妙なお年頃 ページ8
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――それは、ある日の昼のこと。昼休みに入った私は気だるげに屯所の廊下を歩いていて。
目的地は、言うまでもなく山崎のもとである。いつもそいつが書類仕事をしている部屋の襖を遠慮なく開けた。
「山崎ィー」
…そして名前を呼んだのだけど。
(………ありっ。)
どういうわけか、そこはもぬけの殻で。――とうとうパシリからの逃走を図ったか?まあ三十路とかいう微妙なお年頃だしそんなこともあるのかもしれない。歳はとりたくないものである。
半分ふざけながら、改めてその部屋を見回した。――うん、やはり。
「―――地味、極めてんなぁ」
仕事に使うと同時に、そいつの自室とされているこの部屋。端にたたまれた煎餅蒲団と座卓、書類、硯、筆。無個性を全力で主張している。
(こりゃジミーって呼ばれるわけだ。)
地味な部屋が地味に訴える地味さに、なるほどと納得した。……ってあぁ、そうじゃなくって。
「山崎は、いずこ」
私は山崎を探しに来たんだった。探してメロンパンを買いに行かせねばならないんだった。
奴の自室には見切りをつけ、また屯所内をさ迷う。
「――やーまーざーきぃー!」
…いつもならそいつはミントンか仕事かカバディをしているので、こんなふうに呼べば一発なのだけれと。
(……現れやがらない。)
ち、と舌打ちをこぼした。何してんだ山崎パシリのくせにコノヤロー。――私が少しの不機嫌を纏い始めた、そのとき。
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朝 - お疲れ様です。やっぱり素敵です。(^O^) (2019年11月1日 18時) (携帯から) (レス) id: 6f8b22e690 (このIDを非表示/違反報告)
1の次は2 - その次は3なのだ (2019年3月11日 16時) (レス) id: 0f19eb4563 (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 山崎がかっこいい…中村さん流石です…!…そんな作者様になら!きっと坂本辰馬も書けると思います!(必死)お願いしますうううう坂本さんマイナーなんですよおおお日替わりしかないんですよおおおお……検討よろしくお願い致します。応援しています! (2018年9月5日 0時) (レス) id: b56fa1b191 (このIDを非表示/違反報告)
ワサビーム(プロフ) - 中村(平日低浮上)さん» こちらこそすいません!更新、頑張ってください! (2016年9月30日 18時) (レス) id: 4ee0338bf1 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - ワサビームさん» ご指摘ありがとうございます!!そのあたり全く調べずに書いてしまっていました…申し訳ない(´Д`;) 色々と調べた結果、原文丸々というわけではないので参考と直させて頂きました。細かいなんてとんでもないです!ありがたすぎます!本当にありがとうございました!! (2016年9月30日 15時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月19日 21時