捨て身の攻撃とやら ページ41
*
――突入から数分、キン、と刀のぶつかる音が響く廃旅館内。私の後ろには気絶したおっさんの道ができていて。
土方さんや近藤さん、総悟ほどではないにしろ腕は立つのだ。今のところ全員一時間は伸びていてくれるだろう威力で峰打ちを決めることに成功している。
突如現れた真選組と、その隊士が女であることと、仲間が倒れているのに怪我がないこと。それらに拍子抜けしたらしき敵は中々に弱い。…が。
(……これは。)
――人数を、見誤ったか。建物内の気配を探る限り40人はゆうに超えていそうである。…まぁ、いけなくもない。多分。
また目の前から襲いかかってきたおっさんに峰打ちを食らわせ、倒れゆくそれを見送った。いい夢見ろよおっさん。
倒しても倒しても減らない敵に舌打ちをこぼしつつ、向かってくる刀を躱そうとした――そのとき。
「―――…ッ、」
――足が、動かなかった。刀を避けきることができず、体で受け止める。急所は避けたものの左腕に痛みが走り。
その場に初めて、赤が散った。
しかし呆気にとられている暇はない。血濡れ刀の主を気絶させ、動かない足へ視線を向けた。
するとどうにも先程倒したおっさんどもの中には倒された“ふり”をしていただけの無傷野郎もいたようで、私の右足首を掴むひとつの手が認められ。
「…寝てなよ、ジジイが」
苛立ちも込めて峰打ちを落とす。骨の一本や二本折れているかもしれないけれどそこらへんはおあいこだ。
幸いそこまで深くもないらしい左腕の傷に安堵しつつ、また刀を振るった。私が怪我を負ったせいか敵どもは士気を上げており。
(……クソ面倒くさい。)
その野郎どもの目が正気でないことには気づいている。大方薬でもやってんだろう。
迫り来る理性の振り切れたおっさんどもは自分の危険なんてこれっぽっちも考えず突っ込んできているらしく、捨て身の攻撃の厄介さに舌を巻いた。――あぁこれは、と苦笑を漏らし。
(…劣勢か。)
力なく倒れたおっさんの道を背に、刀を構え直した。殺気立ったこの空間で、相手側は私の命を狙いに来ているということを深く感じる。
……いつの間にか不利に追い込まれた状況下、ここのところの寝不足が響いている気さえして。
「――覚悟ォォォォ!!!」
武士道だなんだと説いている割には集団戦法で襲ってくる男ども。前方からの刀を避け切ったそのとき、右目の端にもうひとつこちらへ向けられている刀が映った。
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朝 - お疲れ様です。やっぱり素敵です。(^O^) (2019年11月1日 18時) (携帯から) (レス) id: 6f8b22e690 (このIDを非表示/違反報告)
1の次は2 - その次は3なのだ (2019年3月11日 16時) (レス) id: 0f19eb4563 (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 山崎がかっこいい…中村さん流石です…!…そんな作者様になら!きっと坂本辰馬も書けると思います!(必死)お願いしますうううう坂本さんマイナーなんですよおおお日替わりしかないんですよおおおお……検討よろしくお願い致します。応援しています! (2018年9月5日 0時) (レス) id: b56fa1b191 (このIDを非表示/違反報告)
ワサビーム(プロフ) - 中村(平日低浮上)さん» こちらこそすいません!更新、頑張ってください! (2016年9月30日 18時) (レス) id: 4ee0338bf1 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - ワサビームさん» ご指摘ありがとうございます!!そのあたり全く調べずに書いてしまっていました…申し訳ない(´Д`;) 色々と調べた結果、原文丸々というわけではないので参考と直させて頂きました。細かいなんてとんでもないです!ありがたすぎます!本当にありがとうございました!! (2016年9月30日 15時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月19日 21時