余波 ページ25
――――――
「――満腹」
午前11時を目前として曇天を見上げつつ呟いたのは私である。ふぅとため息を吐いた私を山崎はなんだか温かい視線で見つめていて。
…………なんとも言えない気持ちになった。なんだこの、なんていうか。
「気持ち悪い」
「いや酷くない!?」
「酷くない酷くない。ひどく気持ちが悪い」
だって無言で温かい視線とか何だ一体。どこポジションだお前は。
寒気イボの出そうな腕をさすっていれば「失礼ですよ!!」と。山崎に対しては失礼がデフォであることを忘れてはならない。
しかし、そのギャァギャァと騒ぐ顔がいつも通りにになっていることに少し安心しているのも事実で。
「……ま、よかった」
「はい?」
「あんぱんの余波は吹っ切れたでしょーよ」
また怪しくなってきた雲行きを見つめつつ、言った。…こりゃもう一雨くるな、なんて考えながら山崎へ視線を戻してみると。
「…………なにその滅茶苦茶和やかな顔は」
「…いえ、なんでもないです」
「いや確実になんでもなくはないだろ。どこで和んだ?なにに和んだ?」
決してアレだから、心配とかじゃなくて次からも遠慮なくパシれるようにだから、となんだか言い訳がましい言葉を紡いで視線を逸らす。――あぁもう、今日はどこまでもらしくない。
「――そんなわけだから!…明日からも黙ってパシられてろバカヤロー」
「はいはい、わかりましたよ」
「その子供を見るような視線やめろやコラ!!」
自分の自分でないような言動を隠すように、私は山崎へひとつ蹴りを入れたのだった。
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朝 - お疲れ様です。やっぱり素敵です。(^O^) (2019年11月1日 18時) (携帯から) (レス) id: 6f8b22e690 (このIDを非表示/違反報告)
1の次は2 - その次は3なのだ (2019年3月11日 16時) (レス) id: 0f19eb4563 (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 山崎がかっこいい…中村さん流石です…!…そんな作者様になら!きっと坂本辰馬も書けると思います!(必死)お願いしますうううう坂本さんマイナーなんですよおおお日替わりしかないんですよおおおお……検討よろしくお願い致します。応援しています! (2018年9月5日 0時) (レス) id: b56fa1b191 (このIDを非表示/違反報告)
ワサビーム(プロフ) - 中村(平日低浮上)さん» こちらこそすいません!更新、頑張ってください! (2016年9月30日 18時) (レス) id: 4ee0338bf1 (このIDを非表示/違反報告)
中村(平日低浮上)(プロフ) - ワサビームさん» ご指摘ありがとうございます!!そのあたり全く調べずに書いてしまっていました…申し訳ない(´Д`;) 色々と調べた結果、原文丸々というわけではないので参考と直させて頂きました。細かいなんてとんでもないです!ありがたすぎます!本当にありがとうございました!! (2016年9月30日 15時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年9月19日 21時