如何にも ページ48
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「――今日はありがとうございました」
――縁日を、終えて。現在地我がアパートの目の前。
途中鼻緒擦れを起こしてしまった関係で下駄を手に持ち裸足でコンクリートに立つ私は、眼前の土方十四郎にそう言った。…のだけれど
そいつは、如何にも不機嫌という感じで。
「…足、大丈夫じゃねェだろ」
「まーたそれですか、しつこい男ですね」
「誰のせいだ」
普通裸足で歩くか、と。そんなこと言ったって仕方がない。
「絆創膏貼っても痛いもんは痛いですし、不可抗力です不可抗力」
「背負ってやっても良かったんだぞ」
「御免こうむるわどアホ」
いくら人通りが少ないとはいえ天下の公道を背負われて帰るとか何事だ。少なくとも成人女性が晒していい醜態ではないだろう。…ただでさえさっき姫抱きなんて恥を晒してしまったというのに。
そもそも裸足で歩いてきたからといってなにか怪我をしたわけでもないのだ。
「まぁ気にしないでください」
土方十四郎は色々してくれたのだし。すぐに私の異常に気づいてベンチに座らせて――と、そこで思考が静止した。
(………本当バカ。)
――ここで、さっきのことを思い出してしまうなんて。
脳裏に浮かぶのは夜空に咲く花火を背中に背負ってこちらを見つめていた土方十四郎の姿である。……あのとき。
あのとき、唇が重ねられて、躊躇うように離れて、また深く触れ合って。それを何秒間か繰り返したのち、土方十四郎が唇を離そうとした。――けれどそれは、かなわなかった。
私が、やめさせなかった。
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蘓澳 - さすが中村さん!って感じで楽しく読ませて頂きました! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@平日低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!もう嬉しすぎてどうすれば…!!! お陰様で二巻も完結とさせていただきました。次巻で完結かと思われますが、お付き合い頂けたら幸いですヽ(*´∀`)ノ (2016年9月4日 0時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 三巻楽しみにしてます!夢主ちゃんホントにいい性格ですよね!見てて飽きないですし、凄く応援したくなります♪ (2016年9月3日 23時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三巻も楽しみです!とりあえず土方さんカッコイイし夢主がイケメンすぎて辛いです← (2016年9月3日 23時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
命(プロフ) - 中村さんの作品は夢主さんの性格がリアルで、深く入り込めて読んでいて楽しいです。これからも応援しています!無理をなさらず頑張ってください! (2016年9月3日 23時) (レス) id: 6d7143e2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月25日 23時