年長組の思惑 noside ページ43
【noside】
*
「――にしても、全然おっ始まりませんねィ」
――一行の待ち人らしきひと組の男女が現れてから二十数分、つまらなさそうに呟いたのは茶髪であった。
「そこら辺で一線でも越えてくれりゃァいいネタになるってのに」
「野外は流石に無理だろ、もうちっとノーマルに行こうぜ。ホテル入るとこ激写くらいでいいな」
「銀さんも沖田さんも下品ですよ、もっと純粋に楽しめないんですか」
それにしてもお似合いだわ、とポニーテールの少女が言う。
…ちなみに、双眼鏡に釘付けの三人のとなりでオレンジ少女の耳を必死に塞ぐのは眼鏡である。
「突然何アルカ離せヨ」「いやまだ神楽ちゃんには早いから!」などなど、そちらの言い合いはとりあえず置いておき。
「そもそもあの二人に最初に目をつけ始めたのは私なんですから。私の許可なしでこういうことするのやめてもらえます?面白がらないでください」
「どこ目線だよ、母ちゃんか」
「まァ落ち着いて下せェ。…旦那、今何時ですかィ」
問われた銀髪はあたりを見回して時計を探した。そうして見つけたそれの針を読み。
「19時55分だな」
「そりゃ丁度いーや。20時から花火が始まるらしいんでさァ、カップルがイチャつくには最適ですぜ」
「どんなリサーチ力だよ」
「でもそれならつまり、そこからは漸くイチャつきが見られるんですね。良かった、ずっとふたりで話してるだけじゃつまらないもの」
「滅茶苦茶面白がってんじゃねーか」
年長者組が20時の訪れを待つ中、オレンジ髪の少女にボコボコにされてしまったらしき少年が「銀さん」と口を開いた。
「……ちょっと聞きたいんですけど」
「なんだ?」
「…いや…なんかあの二人、」
――こっち、ガン見してません?
その言葉は、全員の眉間に皺を刻んだ。
それを確かめるため双眼鏡を覗いた茶髪は「マジじゃねーか」と。
「旦那、どうしやすか。こりゃ気づかれやしたよ」
「どうするってアレだアレ。……な!総一朗くん!」
「総悟です。結局何も案浮かんでねェんじゃねーですかィ」
方向性が決まらぬまま、一行は暫く二人組を追っていたのだが、
「――ダメでィ、見失っちった」
「…つまらねー野郎だな」
「……あとでAさんにじっくり聞かないと」
「これで用は済んだアルナ!銀ちゃんたこ焼き買ってヨ!」
――――結局それぞれの目的は果たされぬまま、その男女は人ごみに消えてしまったのであった。
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蘓澳 - さすが中村さん!って感じで楽しく読ませて頂きました! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@平日低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!もう嬉しすぎてどうすれば…!!! お陰様で二巻も完結とさせていただきました。次巻で完結かと思われますが、お付き合い頂けたら幸いですヽ(*´∀`)ノ (2016年9月4日 0時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 三巻楽しみにしてます!夢主ちゃんホントにいい性格ですよね!見てて飽きないですし、凄く応援したくなります♪ (2016年9月3日 23時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三巻も楽しみです!とりあえず土方さんカッコイイし夢主がイケメンすぎて辛いです← (2016年9月3日 23時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
命(プロフ) - 中村さんの作品は夢主さんの性格がリアルで、深く入り込めて読んでいて楽しいです。これからも応援しています!無理をなさらず頑張ってください! (2016年9月3日 23時) (レス) id: 6d7143e2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月25日 23時