お前んちのゴリラ ページ30
いや、まぁアレだ。ご本人とわかってもらえたのはいい。……決して土方十四郎と懇意なんてことはないけど、ともかくそれはいい。問題はどうしてそう思われたかだ。
(…“本人ならこんなに丁寧なはずがない”ってことは、)
つまりなに?怒鳴った私に対してあぁ成程無礼だこの人か、なんて納得した、と?
ふつふつと怒りが沸いてくる中電話の保留が解除された。『もしもし』と訝しげに耳に届いたのは紛れなくそいつの声であり。
「真選組を爆破します」
『……いきなり犯罪予告してんじゃねェ』
「真選組を潰します死ね」
『直接的になるな』
つーかマジでお前か、と。私以外誰だと思ってたんだという話である。バカなのかこいつはイケメン副長とか気取っといてバカなのか殺したい。
耳へ流れ込むそれの心地よさは、気づかなかったこととして。
「マジじゃなくても私ですけど。誰のために電話してやったと思ってんだ殺す」
『一々物騒なんだよテメェは!…何の用だ』
「何の用ってんなもんお前んちのゴリラ絡みだわはっとばすぞ」
『はっとばすな。近藤さんがどうかしたか?』
「衣服忘れてったそうなんですが」
『は?』
「お妙の家に衣服忘れてったそうなんですがあのゴリラ」
『……いくつかツッコませろ』
見える。受話器の向こうで額に手を当てた土方十四郎の姿が見える。実際私だって初めて聞いたときはそうしたかったし現在進行形でそうしたい。
ツッコミとやらをまとめたらしき土方十四郎が『まず』なんて口を開いた。
『服忘れるってどういうこった』
「全裸で帰ったらしいですけど」
『…なるほどな』
「なるほどな!?それで済ませていいのかてめえ!世の警察はどうなってんだ一体!」
『仕方ねーだろ日常茶飯事なんだよ!』
「残念なお知らせだ土方十四郎、お江戸は終わりです」
『どこの警察が終わりだコラ』
どこもなにも真選組だコノヤロウ。オブラートに包んでやったというのに引き剥がしやがってこのクソイケメンが。
土方十四郎への恨みを募らせつつ、先を促す。
「…で、あとは何か?」
『……なんでお前がんなもん持ってんだ』
ほぼ無関係だろ、と。んなもん私が一番聞きたい。この理不尽さを分かれ。
「お妙が自分で返しに行きたくないようで、脅されました」
『脅し、だァ?』
「……ま、色々と」
脅しの内容を思い出すも―――…土方十四郎には、とても言えない。そこはなんとなくはぐらかした。
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蘓澳 - さすが中村さん!って感じで楽しく読ませて頂きました! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@平日低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!もう嬉しすぎてどうすれば…!!! お陰様で二巻も完結とさせていただきました。次巻で完結かと思われますが、お付き合い頂けたら幸いですヽ(*´∀`)ノ (2016年9月4日 0時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 三巻楽しみにしてます!夢主ちゃんホントにいい性格ですよね!見てて飽きないですし、凄く応援したくなります♪ (2016年9月3日 23時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三巻も楽しみです!とりあえず土方さんカッコイイし夢主がイケメンすぎて辛いです← (2016年9月3日 23時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
命(プロフ) - 中村さんの作品は夢主さんの性格がリアルで、深く入り込めて読んでいて楽しいです。これからも応援しています!無理をなさらず頑張ってください! (2016年9月3日 23時) (レス) id: 6d7143e2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月25日 23時