【銀魂】化けの皮【土方十四郎】

どんな状況 ページ28

「でも他に頼める人もいないんです」


「弟とか万事屋一行は！」


「珍しく仕事が入っていて忙しそうなんだもの」


「…じゃぁ自分で行くとか！」


「あんなゴリラの巣、私みたいな女の子が1人で行ったら身が持ちません」


「つまり私は大丈夫だと？というか女の子？ゴリラでなく？」
「誰がゴリラですって？よく聞こえなかったわ」




ゴリラ云々は触れずにおく。深入りすれば全治2週間は軽いだろう。

ため息混じりに「ともかく私は行かないから、そんなゴリラの巣とやら」と立ち上がれば。



「――でも、Aさんには土方さんがいるじゃないですか」



ゴリラの脅威はゼロですよ、と。…右手に持っていた荷物を、思わず落としてしまった。



「……だから私とあのヤロウはそんなんじゃないって何回言えばいいの」


「最近土方さんと何かあったんじゃないですか？Aさん気落ちしてますし」
「ねえ話聞いて」


「それとも何も無いっていうなら、行ってもらえますよね？」



――と、にっこり。

……真面目な話、土方十四郎とは何も無い。私が勝手に憂鬱になってこじらせているというだけで。



(…あぁもう、)


これは、負けである。




「―――わかった。行けばいいんでしょ、行けば」


「よかった、ありがとうございます。それでこれ忘れ物の衣服です」


「衣服!?」



どういうことだ、どんな状況だそれは。あのゴリラ全裸で帰ったの？



「全裸で帰ってみろって殴ってたら本当に実行されてしまって」

「……へえ」



まあそんな気はしていた。お妙だし。

戸惑いは溢れだしそうだけれども、また彼女に何か言われるより先にそれを受け取り、荷物を持ち直す。



「――じゃ、お疲れ様」

「はい、お疲れ様です」



そして定型文を発したのち、私はいつもより少し多い荷物を抱えて帰路についたのだった。

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