お尻の下 ページ13
「――お前、昨日一人で飲んでたんだよな?そんな遅くまで」
「そうですけど、何か」
突拍子のない質問に驚いてしまう。お酒を飲んで水を摂っていなかったことについてはもう既に反省しているのに、なんて思いながらも言葉を返せば。
「…で、帰りはひとりか」
「……はいィ?」
「ひとりだったのかって聞いてんだよ答えやがれ」
「簡単にキレるな警察だろ。…一人でしたけど、それが何か」
こちとら病み上がり…っていうか半病人みたいなもんなのに酷い扱われようである。そして目の前のイケメンが言ってることの意味が全くもってわからない。ふざけてんのか。
訝しみを全力で視線に乗せて、土方十四郎を見つめていると。
「……この間もそうだが、お前少しは危機感を持ったらどうだ」
「危機感?」
「真夜中に女ひとりとか江戸の治安なめてんのか」
「…………ひとつ言わせてもらえます」
(――あぁもうこれだから、)
さっきまで体調不良やら何やらで忘れていたものを思い出してしまった。…ふつふつとわいてくるこの気持ちは紛れもなく、
「てめえのせいだろ土方十四郎コノヤロウ!」
怒りで、ファイナルアンサーだ。
「――あのねえ!普通偽装カップルに私を巻き込む!?バカなの!?」
「まだその話か!んなもん不可抗力だろーが!!んなことより今はお前の話を、」
「なぁーにが不可抗力だ!何?惚れてる?私に惚れてんの?」
「…誰がだ!」
そもそも、そもそもだよ。土方十四郎は私が遅く帰ったことになんだか不満を抱いてるらしいけどそんなこと注意される義理はないし、それに!
「元をたどればアレが原因でヤケ酒したんだよこっちは!もうクソ苛つく店のジジイに耐えながら酒飲んで酒飲んで酒飲んで!」
「クズじゃねェか」
「もう一回言ってみろ刺すぞ」
「やってみろアホ」
やってやら!と立ち上がった私を呆れたように見つめる土方十四郎。いや煽ったのお前だし私何も…ほとんど悪くないし。
三角座りから垂直立ちになったってやはり頭の上にあるその端正な顔へガンを飛ばしていれば、――またこの前のようにそいつはふっと笑った。
「それだけ元気ならもう大丈夫だな」
「…はあ…?」
「こちとら仕事中だ。…お前、無理すんなよ」
「気遣うな気持ち悪い」
今度は私の暴言にも無反応で、先ほどまで私のお尻の下に敷かれていた隊服を持ち上げた土方十四郎。
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蘓澳 - さすが中村さん!って感じで楽しく読ませて頂きました! (2016年10月11日 17時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@平日低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!もう嬉しすぎてどうすれば…!!! お陰様で二巻も完結とさせていただきました。次巻で完結かと思われますが、お付き合い頂けたら幸いですヽ(*´∀`)ノ (2016年9月4日 0時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 三巻楽しみにしてます!夢主ちゃんホントにいい性格ですよね!見てて飽きないですし、凄く応援したくなります♪ (2016年9月3日 23時) (レス) id: ca3544b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 三巻も楽しみです!とりあえず土方さんカッコイイし夢主がイケメンすぎて辛いです← (2016年9月3日 23時) (レス) id: b4895c0cf1 (このIDを非表示/違反報告)
命(プロフ) - 中村さんの作品は夢主さんの性格がリアルで、深く入り込めて読んでいて楽しいです。これからも応援しています!無理をなさらず頑張ってください! (2016年9月3日 23時) (レス) id: 6d7143e2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月25日 23時