面倒くささ倍増 side土方十四郎 ページ30
【土方十四郎side】
「――あ、副長!おかえりなさいッス!」
「おう」
――とっつぁんの無茶でその片棒を担ぐこととなった見合いが終わり、今現在俺は屯所に帰ってきていた。すれ違う隊士どもに声を返しながら、自室へ向かっていたのだが。
「――あれ、見合い帰りの土方さんじゃねーですかィ」
………もうそこの角を曲がれば部屋だ、というところでそんな声がかけられた。…つまるところ、
「…総悟」
そう、そいつである。
いつも通りなにを考えてやがるんだかわからねェ表情の総悟は「どーでしたか、見合いは」などと尋ねてきており。
「その俺が見合いしてきたみたいな言い方はやめろ」
「似たようなもんじゃねーですか、土方さん。とっつぁんに聞きやしたぜ、なんでも替え玉の女の彼氏役してたとか」
――あのオッサン!
内心でとっつぁんをぶん殴りながら「別に他意はねェ」と返した。
「とっつぁんに巻き込まれただけだ」
「そりゃいつものことですが、女も一緒となるとまた面白そうな匂いがしたんで」
「面白がってんじゃねェよ、アホか」
「おまけにその女がキャバ嬢と来ちゃ勘繰らずにはいられねェってもんでさァ」
最近キャバクラで決まった女指名してるって噂になってることですし、とのこと。
…先ほどその女の相手をしてきたあとだってのに、どうしてこうも面倒臭せェ奴の相手ばかりしなきゃならねェんだ。
「だからなんでもねェって言ってんだろ、ぶっ飛ばすぞ」
「口より手が出るたァいけねーや」
まァ精々楽しませて下せェ、などと言いつつ総悟はどこかへ歩いていく。…何なんだ、アイツは。
(……ったくムカつく。)
あの女には不覚にも助け舟出しちまうし、相変わらず終わりの見えねェ言い合いはしちまったし、帰ってきたと思ったらこれだ。
「…勘弁しろ」
はぁと吐いたため息混じりの紫煙は空気の中へ溶けていった。今日一日のことを振り払うように頭を振って。
俺はひとつ角を曲がり、自室へ安息を求めたのだった。
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軒夜月 - めっちゃ面白いです!よくこんなネタ思いつきますね(汗)すごいです!これからも頑張ってください! (2016年10月19日 0時) (レス) id: 0ff51cc9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蘓澳 - こんな、面白い話を書くのは誰なんだろうと思い、作者を見たところ、やはり中村さんだったという.....!中村さんの小説大好きです!これからも頑張ってください!応援してます!!これからも末永く読ませていただきます!笑 (2016年10月10日 22時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!お陰様で一巻完結とさせていただきました。二巻もお付き合い頂ければと思います!よろしくお願いします(*^_^*) (2016年8月27日 6時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
名無し17343号(プロフ) - この小説を読んで、土方さんがもっと好きになりました!キャラ崩壊してなくて、とても読みやすいです。 (2016年8月26日 11時) (レス) id: 683d111013 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年8月25日 9時) (レス) id: 00e4fea1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月14日 9時