恨み節 ページ27
(……なんでイケメン嫌いなのか、って。)
そんなのどうしてイケメン張本人に白状しなければならないのか。そんなもの言ってやる義理はないし、わけわからない。――…でも。
でも、今この瞬間の私はどうしてか。…土方十四郎の中身が不細工なことに気づいたからか、今までのイケメンの型に嵌らない男だということがわかってしまったからか。
「――――ま、男運が悪かったといいますか」
気づけば、その問いへの答を発していた。
「…男運?」
「知ってのとおり私こんなに美人なんで。昔っから男前がわんさか寄ってくるんですよ」
「自分で言うなよ」
「事実だろうがバカヤロウ」
話の腰折らないでもらえます、聞いたのてめえだろと土方十四郎を睨みつける。
「…ともかく、それで普通に付き合ったりするじゃないですか」
「……おう」
「――そしたらアイツ等、端からクズになりやがって!」
どん、と机へ拳を叩きつけた。汁物やらがゆらゆらと揺れる。
土方十四郎は「興奮すんな」なんてまた火をつけたらしい煙草を味わいつつこちらへ視線を向けた。
「クズってどんなだよ」
「……聞きましたね?」
「…あ?」
聞いたなコノヤロウ、私の愚痴に付き合えよ、そんな思いを込めて土方十四郎を見上げる。“ヘタ踏んだ”とでも言うかのようなそいつの端正な顔は気にせず、私は息を吸った。
「――まず、あいつら全員こんな別嬪と付き合えたからって調子にのりやがる!!」
「うおッ、…テメェ急に立ち上がんじゃねェよ!」
「うるせえイケメン黙って聞いてろ!…で、中にはなにをトチ狂ったのか私を下に見てずっと上から目線で話しかけてくる奴もいたんですよねえ、ほんとクソ」
憤慨する私の口は止まらない。恨み言なら売るほどあるのだ。
「ほかの奴だと途中までは超いい男気取ってたのに、一回私を抱いた途端粗雑になったり!」
「…抱いたってお前ぶっちゃけすぎだろ」
「何?純情気取ってんですか気色悪い」
「誰が純情だはっ倒すぞ」
「うっさいですね、…まぁそんなわけです」
そんなことが何回も起きればそりゃ男性不信ならぬイケメン不信にもなるというものだ。
私の話を聞き終えた土方十四郎は「ちなみに」なんてこちらを見上げ。
「その彼氏ども、」
「元、彼氏です」
「……元彼氏どもにはお前どんな風に接してたんだよ」
…接する?
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軒夜月 - めっちゃ面白いです!よくこんなネタ思いつきますね(汗)すごいです!これからも頑張ってください! (2016年10月19日 0時) (レス) id: 0ff51cc9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蘓澳 - こんな、面白い話を書くのは誰なんだろうと思い、作者を見たところ、やはり中村さんだったという.....!中村さんの小説大好きです!これからも頑張ってください!応援してます!!これからも末永く読ませていただきます!笑 (2016年10月10日 22時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!お陰様で一巻完結とさせていただきました。二巻もお付き合い頂ければと思います!よろしくお願いします(*^_^*) (2016年8月27日 6時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
名無し17343号(プロフ) - この小説を読んで、土方さんがもっと好きになりました!キャラ崩壊してなくて、とても読みやすいです。 (2016年8月26日 11時) (レス) id: 683d111013 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年8月25日 9時) (レス) id: 00e4fea1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月14日 9時