殴らせて下さい ページ19
いや、馬鹿なの何なの!?そんなのがあるなら替え玉とか意味なくない!!?
頬の引き攣りをなんとか抑えながら自分の容姿を思い浮かべるも黒髪だし髪はそれなりに長いし…相違点しかない。…あぁもう!
「(――なんであちらさんにあんなもん渡してんのふざけてんの!!?)」
ふつふつと湧いてくる怒り動揺焦りその他諸々を抑えきれず、土方十四郎へ小声をぶつけた。
「(俺が知るか!!つーか何かフォローしろ!)」
「(馬鹿言ってんじゃねえぞイケメン!あんた護衛でしょうが私のハートを守れよ!)」
「(誰が好き好んでそんなろくでもねェもん守るか!)」
「(これから背後に気をつけろよ!)」
お互い何でもないような顔を保ちお偉方を見つめながら、できる限り小さな口の動きでいつも通りの罵倒を飛び交わせる。
寄らないように気を付けていた眉根が、ぴくりと限界を訴えだしたそのとき。
「……やべっ」
ぼそり、落とされた松平公の声。……やべ?
そちらへ意識を向ければ「そういやァアレ渡してたっけか」と。
「(――なに!?なにこのオッサン殴っていい!?殴れってこと!!?)」
「(落ち着け!気持ちはわかるが後にしろ!!とにかく今は見合いをなんとかしなきゃならねェ!)」
お互いの間で飛び交わせていた殺意を今度は松平公へ向けながら相手家族を見つめた。――なんとかするって、どうやって。
完全に策なし状態の私が無言のまま固まっていると。
「…あー、アレですね、また随分と前の写真ですねェ栗子様」
――唐突に発された低い声と、
――――合わせろよテメェ!!
そんな言葉を訴えるようにひん剥かれた、いつもは鋭いその目。
……仕方ない、一時休戦、呉越同舟だ。
「え、昔の写真!?」なんて驚く見合い相手の父親はとりあえず気にせず、口元に笑みを作り。
「そ、そうですねえ。いつの写真かしらー?まだ黒染めもしてない頃ですしねえ、な、懐かしいわぁ」
「黒染め!!?」
「顔もあの……成長期で変わる前ですし」
「成長期!!?」
どうしよう話せば話すほどボロが出る気がする。間で声を挟んできていた父親のぽかんとした顔から目をそらした。
やっちまったかこれ、なんて内心冷や汗を流す私に突き刺さるのは成長期で顔が変わる奴があるかよとでも言うかのような土方十四郎の視線である。じゃぁどうしろってんだ。
何がともあれ言ってしまったものは取り消せないし、もしバレたらどう逃げようかと避難経路へ頭を巡らせ始めていると。
1272人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
軒夜月 - めっちゃ面白いです!よくこんなネタ思いつきますね(汗)すごいです!これからも頑張ってください! (2016年10月19日 0時) (レス) id: 0ff51cc9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蘓澳 - こんな、面白い話を書くのは誰なんだろうと思い、作者を見たところ、やはり中村さんだったという.....!中村さんの小説大好きです!これからも頑張ってください!応援してます!!これからも末永く読ませていただきます!笑 (2016年10月10日 22時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!お陰様で一巻完結とさせていただきました。二巻もお付き合い頂ければと思います!よろしくお願いします(*^_^*) (2016年8月27日 6時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
名無し17343号(プロフ) - この小説を読んで、土方さんがもっと好きになりました!キャラ崩壊してなくて、とても読みやすいです。 (2016年8月26日 11時) (レス) id: 683d111013 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年8月25日 9時) (レス) id: 00e4fea1b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月14日 9時