権力差 ページ14
「…なんで俺がんなことしなきゃならねェんだ。それにアンタの娘が俺と好い仲にあるって広まるぞ」
――成程、娘を引き合いに出すのが正解か!よくやった土方十四郎!お前ならやれると信じてたぞ私は!
土方十四郎に偽彼氏的な何かをしてもらいたくないあまり土方十四郎を褒めちぎる。松平公は「バッキャロォォ!!栗子は誰にも渡さねェぞ!」なんて激昂していて。
「ならそもそも縁談なんざ断っちまえ!」
「断れたら断ってるに決まってんだろうがァァ!!!だが会いもせずに断ったらオジサンクビになっちまうの!!断るにしても会うだけはしなきゃならねェの!!」
「だとしてもそれがコイツである必要はねェだろうが!つーか俺が関わる必要ねーだろ!!」
……おいおいまてまて土方十四郎。なんだ俺が関わる必要ないって。――抜けがけはいかんでしょうよ!カスなの!?
このままではなんだか私一人が被害を被ってしまいそうなのを察し、冷や汗を流したその時。
「――あーもうゴチャゴチャうるせェな!手近な奴ですませてェんだよ!!」
土方十四郎をひと睨みした、松平公。
その鋭い視線を緩めつつ、今度は私の方へむけて。
「それでAちゃん、どうかなァ。勿論お礼はたんと払うし間違っても縁談まとまるなんてこたァさせねェから」
……そんな、言葉を発した。――ここで事実をもう一度確認しよう。
まず、私は一介のキャバ嬢である。これといって権力は持っていないし、店内でも強大な支配力を持ってるとか店長を取り込んでるなんてことはない。
一方松平公というのはこの国の警察のトップである。お役人の中でも上の方の地位を持つ紛うことなき権力者である。そしてなにより、この店の特大常連客だ。
もしこのオッサンになにか失礼があれば、店で働けなくなるどころかかぶき町出禁、むしろ店ごとひねり潰されたっておかしくはないわけで――――つまり。
「……はい、わかりました。私でよければ」
………一対一でそんなこと言われてしまったら、断る権利など私にない。
「マジでか!いやァ〜助かったわァ〜、ほんとありがとね、好きなだけ飲めよォ」
一気に上機嫌となった松平公へ愛想笑いを向けながら、私は精神的な死をしみじみと味わったのだった。
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軒夜月 - めっちゃ面白いです!よくこんなネタ思いつきますね(汗)すごいです!これからも頑張ってください! (2016年10月19日 0時) (レス) id: 0ff51cc9e5 (このIDを非表示/違反報告)
蘓澳 - こんな、面白い話を書くのは誰なんだろうと思い、作者を見たところ、やはり中村さんだったという.....!中村さんの小説大好きです!これからも頑張ってください!応援してます!!これからも末永く読ませていただきます!笑 (2016年10月10日 22時) (レス) id: 6f5c53b9aa (このIDを非表示/違反報告)
中村@低浮上(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!お陰様で一巻完結とさせていただきました。二巻もお付き合い頂ければと思います!よろしくお願いします(*^_^*) (2016年8月27日 6時) (レス) id: c9af2bf87c (このIDを非表示/違反報告)
名無し17343号(プロフ) - この小説を読んで、土方さんがもっと好きになりました!キャラ崩壊してなくて、とても読みやすいです。 (2016年8月26日 11時) (レス) id: 683d111013 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2016年8月25日 9時) (レス) id: 00e4fea1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2016年8月14日 9時