覆っていく ページ9
「・・・・・今、ですか」
・・今。・・・・それはつまり、と私は考え出したのだけれど、彼は私の言葉を待たずに続く言葉を口から発した。
「――人を斬る覚悟も命を斬る覚悟も出来たんだろ。・・酒も飲んだ」
「・・・・・・はい」
「・・なら、」
――そこで一度言葉を区切ると、静かに紫煙を吐き出した高杉さん。
「――――“血の繋がりは斬れねェ”」
「・・・、」
「・・それもいずれ覆らァ。――今までと同じように、・・てめェが知らぬ間にな」
――・・覆、る・・・。
考えもしなかったそれを、私は小声で繰り返して。
(――覆る・・のかな。)
――湧いてきた少しの疑問を、内心で漏らした。・・・確かに、高杉さんの言う通りではある。
――私は最初、人を殺すことなどできないと言った。・・命を奪うなんて以ての外だと。
・・・・・・・・・しかし、今は覚悟も固めて・・――実際に斬った。
――かつて私は、父に教えられた物差しを片手に生きていた。・・・・女子は主張してはいけないと、様々なことに制約があるのが当たり前だと。・・・・そんな馬鹿げた常識を抱えていた。
・・しかしこれも、現在は綺麗さっぱり捨て去っていて。
・・・・ならば、高杉さんの言う通り今回も。
・・今回私が迷っているのも一時のもので、少し経てば迷いなどなくなるのだろうか。
――――父を、斬れるようになってしまうのだろうか。
(・・・・・それは――・・、・・・なんていうか。)
喜んでいいこと、なの?
「――高杉、さん」
――私はまた、彼の名を呼び。
「・・・・・なんだ」
返ってきた声に、少しの苦笑を零した。
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中村@受験終了!(プロフ) - えうさん» ご指摘ありがとうございます!完全に無意識で、冷や汗が流れました(;´д`)きっと知らせて頂けなかったらあのままだったと思います。本当に有難いです。 また何かやらかしてましたら、ご指摘頂けるととてもとても助かります。本当にありがとうございました! (2015年3月15日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
えう(プロフ) - 『彼だからこそ』の回で夢主が高杉に対してご苦労様と言ってますがそれは自分より目下の人間に使う言葉なので不適切では? (2015年3月15日 5時) (レス) id: 18baf1cf97 (このIDを非表示/違反報告)
中村@3/11受験(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!私には勿体無さすぎるお言葉ばかりで、恐縮しきりです(;・∀・)でも本当に嬉しいです・・! 受験直前につき更新は亀の散歩以下のペースなのですが、出来る限りは頑張らせて頂きますので見捨てないで頂けたら幸いです(*^_^*) (2015年2月28日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
メイビス(プロフ) - このお話、大好きです!!! 本物の小説のような書き方で夢小説ではないみたいです! これからも更新頑張ってください! (2015年2月27日 23時) (レス) id: aec4179d02 (このIDを非表示/違反報告)
ベリープリン(プロフ) - まさに文学って感じの世界観、大好きです!応援してます(。・ω・。) (2015年2月22日 19時) (レス) id: 73a7757a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年2月8日 22時