青白いそれ、橙のそれ ページ6
「･･･親父について、ねェ･･」
高杉さんは煙管の煙を吐き出しながらこちらを見つめている。･･今日は月の光じゃなくて行灯が部屋を照らしているんだな、なんてどうでもいいことが頭を掠めて。
(･･あぁ、いけない。)
現実逃避など、している場合ではない。――いつもは青白い光が包むそこで、橙色に照らされながら。
「――――私は、父を手にかけるなんてことできません」
――両手を握り締めて、そう言った。
･･･いくら非道い人間だろうとも血の繋がりのある父。そんな相手を殺めるなんてこと、私には出来なくて。
「･････理由を聞こうじゃねェか」
――瞼を閉じて私に返す彼の声色からは、相変わらず何も読み取れない。･･けれど取り敢えず、その言葉に従い。
「――臆病だから、です」
「･･･臆病？」
「･･人は斬れます。命も、斬る覚悟は固めました。････だけれど･･――血の繋がりは、斬れません。･･････そんな勇気、持っていません」
私の声に、高杉さんは閉じたままだった目を開いた。
･････姿を見せたその右目は、横目でちらりとこちらを向いていて。
「――実の親は、斬れねェと？」
「･･そうなってしまいます」
････その人にそう返しながら、両の手を握った。
(――･･何と、言われるだろうか。)
鼻で笑われるか怒られるか。――斬られるか。･･･どう転んだって後悔はない。
爪が手のひらに食い込むのを感じつつ、ぎゅっと目を閉じていたら。
「――――オイ」
････いつも通りの声音で、紡がれたそれ。･･間の抜けているだろう顔で私が高杉さんを見上げると。
「･････飲め」
･･その言葉と共に手渡されたのは、お酒の入ったお猪口であり。
「――高杉、さん･･？」
拍子抜けしたように彼の名を呼んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 560人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
中村@受験終了！(プロフ) - えうさん» ご指摘ありがとうございます！完全に無意識で、冷や汗が流れました(;´д｀)きっと知らせて頂けなかったらあのままだったと思います。本当に有難いです。 また何かやらかしてましたら、ご指摘頂けるととてもとても助かります。本当にありがとうございました！ (2015年3月15日 10時) (
レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
えう(プロフ) - 『彼だからこそ』の回で夢主が高杉に対してご苦労様と言ってますがそれは自分より目下の人間に使う言葉なので不適切では？ (2015年3月15日 5時) (レス) id: 18baf1cf97 (このIDを非表示/違反報告)
中村@3/11受験(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!私には勿体無さすぎるお言葉ばかりで、恐縮しきりです(；・∀・)でも本当に嬉しいです･･！ 受験直前につき更新は亀の散歩以下のペースなのですが、出来る限りは頑張らせて頂きますので見捨てないで頂けたら幸いです(*^_^*) (2015年2月28日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
メイビス(プロフ) - このお話、大好きです!!! 本物の小説のような書き方で夢小説ではないみたいです! これからも更新頑張ってください! (2015年2月27日 23時) (レス) id: aec4179d02 (このIDを非表示/違反報告)
ベリープリン(プロフ) - まさに文学って感じの世界観、大好きです！応援してます(｡･ω･｡) (2015年2月22日 19時) (レス) id: 73a7757a7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中村
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時：2015年2月8日 22時
