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久方ぶり ページ47

―――――――――



―――紅桜を巡った諍いが幕を閉じて、数時間。・・時計の針は22時を回り、騒ぎの中でまた移動してきたこの新しい船の中も暗闇と静寂で包まれた頃。

・・・私はと、いうと。




「・・――失礼致します」


――とある一室の襖を静かに開けていた。・・言うまでもなく高杉さんの部屋の。

・・・実を言うとあのあと・・、・・“祭りは終めェだ”と告げられたあと、私は彼に『夜落ち着いたら酌に来い』なんて言われていたのだ。・・そして、今はその言葉に従っているというわけ。



「入ってよろしいでしょうか」



少し遠慮がちに聞けば「入れ」なんて。その素っ気ない声にそういえばお酌に呼ばれるのは久方ぶりだなと思い出した。


まだ見慣れぬその部屋へゆっくり足を踏み入れ、窓辺に腰掛ける彼の近くに腰を下ろす。・・今日来たばかりの部屋であるはずなのに、もう高杉さんの色に染まっているのは何故だろうか。


(・・まぁ、彼が彼である故か。)



自分で生み出した疑問に自分で答えを見つけてしまい、内心苦笑を零していると。




「・・――どうだった、今日は」


・・・唐突に切り込んできたのは言うまでもなく高杉さんその人だ。どうだった、とその言葉に私は少しだけ考えて。



「・・・・疲れました」



結局、そんな何のひねりもない答えを捻り出した。彼は「疲れた?」とそれを繰り返している。



「・・そりゃまたどうしてだ」

「・・・どうしてと申しますか・・、・・色々ありましたから」



曖昧に笑って誤魔化した私。・・説明しようがないのだ。只々色々なことがありすぎたというだけで。





「――あの、それよりも」



・・一瞬無言に包まれたこの部屋を、静寂から救い出すように私は口を開き。



「・・・・岡田さんはどうなったのでしょうか」



ずっと引っかかっていたそれを高杉さんへとぶつけてみた。

・・今更だけれど、屋根の上以来彼の姿を見かけていないのだ。どうしたのだろうかと思いつつ彼の返答を待っていれば。





「―――敗れた」


「・・・はい・・?」




聞こえたのは、単純すぎる四文字。――敗れた?・・敗れたとは、つまり・・・。


「・・たか、」「――奴ァ敗れた」



それ以上の答が必要か、なんて更に深く切り込もうとした私の声を遮るように発されたそれ。



(・・・岡田、さんは・・、)


・・紅桜と共に亡くなったということだろうか。・・でも、それを確認する術すら私には与えられておらず。

部屋の中→←力が抜ける



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設定タグ:銀魂 , 高杉晋助 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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中村@受験終了!(プロフ) - えうさん» ご指摘ありがとうございます!完全に無意識で、冷や汗が流れました(;´д`)きっと知らせて頂けなかったらあのままだったと思います。本当に有難いです。 また何かやらかしてましたら、ご指摘頂けるととてもとても助かります。本当にありがとうございました! (2015年3月15日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
えう(プロフ) - 『彼だからこそ』の回で夢主が高杉に対してご苦労様と言ってますがそれは自分より目下の人間に使う言葉なので不適切では? (2015年3月15日 5時) (レス) id: 18baf1cf97 (このIDを非表示/違反報告)
中村@3/11受験(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!私には勿体無さすぎるお言葉ばかりで、恐縮しきりです(;・∀・)でも本当に嬉しいです・・! 受験直前につき更新は亀の散歩以下のペースなのですが、出来る限りは頑張らせて頂きますので見捨てないで頂けたら幸いです(*^_^*) (2015年2月28日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
メイビス(プロフ) - このお話、大好きです!!! 本物の小説のような書き方で夢小説ではないみたいです! これからも更新頑張ってください! (2015年2月27日 23時) (レス) id: aec4179d02 (このIDを非表示/違反報告)
ベリープリン(プロフ) - まさに文学って感じの世界観、大好きです!応援してます(。・ω・。) (2015年2月22日 19時) (レス) id: 73a7757a7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/  
作成日時:2015年2月8日 22時

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