性に合わない ページ40
「・・こんな別嬪に知られてるたァ、光栄だねェ」
「・・・・貴方、白夜叉なんですね?」
彼の態度に確信を持ち再度尋ねる。すると。
「悪いかよ。・・お前は高杉を崇拝する部下ってとこか」
「悪いでしょうか。・・・でも微妙に間違っていますね」
「あァ?」
「――私は部下ではなくて、道具ですもの」
微笑んだ私に、白夜叉は訝しげな視線を向けた。
「・・・道具ねェ。・・結構なこった」
仲間じゃねーのかとか野暮なこたァ聞かねーよ、と。
「てめーら鬼兵隊が俺たちの性に合わねェのは百も承知だ」
「・・貴方がたは鬼兵隊とは違うと?」
「少なくとも人を道具とは呼ばねーよ。・・・悲しくなんねーの、お前ら」
「自らの名称が何だろうと、高杉さんの役に立てるなら本望でしょう」
薄く微笑んだ私に白夜叉は「らちがあかねェ」なんて言いつつ――・・私の刀を、自身の木刀で軽く振り払った。
「・・弱っちーなオイ。それでも“道具”か」
「・・・・・発展途上の、道具です」
振り下ろされた木刀を防ぐように刀で応戦する。・・しかし。
「――だが、悪りーな。今はんなことしてる場合じゃねーの」
あっさりとまた振り払われて、私の前を通り過ぎていった白夜叉。・・その目は、少し遠くを見ており。
「・・・誰か、倒したい相手でもおられるんですか」
「・・倒したい相手?・・・バカ言え、んなもんじゃねーよ」
――化け物退治だ、と。
・・彼の視線を辿ってみれば、そこには“何か”が聳えていて。
「――・・よォ、この間ぶりじゃねーか。相変わらず気味悪りィもん持ってやがんな」
白夜叉がそんな声をかけた先のその“何か”は、少しだけ笑みを零したようだった。・・・ぼんやりと見えるその影にじぃと目を凝らせば。
「・・・あァ、そうだねェ。そっちこそ相変わらず・・――目障りな光だ」
(――――な、)
・・その“何か”の正体は。白夜叉に向けられた声の主は。
「――岡田、さん・・!?」
私を盲目だと評した、その人で。
「・・・あれ、その声は先のお嬢ちゃんかい?・・怯えてるねェ」
笑い混じりに返されたその言葉も右から左へと抜けていった。――何故なら。
「・・・その刀、」
・・彼の刀――紅桜が、あまりにも異様で。
彼が右腕で持つ――いや、彼の右腕に成り代わったそれは、最早刀になど見えない。
(・・――これが、)
――紅桜。・・妖の、刀。
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中村@受験終了!(プロフ) - えうさん» ご指摘ありがとうございます!完全に無意識で、冷や汗が流れました(;´д`)きっと知らせて頂けなかったらあのままだったと思います。本当に有難いです。 また何かやらかしてましたら、ご指摘頂けるととてもとても助かります。本当にありがとうございました! (2015年3月15日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
えう(プロフ) - 『彼だからこそ』の回で夢主が高杉に対してご苦労様と言ってますがそれは自分より目下の人間に使う言葉なので不適切では? (2015年3月15日 5時) (レス) id: 18baf1cf97 (このIDを非表示/違反報告)
中村@3/11受験(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!!私には勿体無さすぎるお言葉ばかりで、恐縮しきりです(;・∀・)でも本当に嬉しいです・・! 受験直前につき更新は亀の散歩以下のペースなのですが、出来る限りは頑張らせて頂きますので見捨てないで頂けたら幸いです(*^_^*) (2015年2月28日 10時) (レス) id: 0d3c6b7cce (このIDを非表示/違反報告)
メイビス(プロフ) - このお話、大好きです!!! 本物の小説のような書き方で夢小説ではないみたいです! これからも更新頑張ってください! (2015年2月27日 23時) (レス) id: aec4179d02 (このIDを非表示/違反報告)
ベリープリン(プロフ) - まさに文学って感じの世界観、大好きです!応援してます(。・ω・。) (2015年2月22日 19時) (レス) id: 73a7757a7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:中村 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakamura_/
作成日時:2015年2月8日 22時