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6日目。
中堂がカフェを訪れると、いつもの笑顔の彼女は出迎えてくれなかった。
店内は電気だけが付いているものの人の気配が無く、厨房からはコポコポと湯を沸かす音がするだけで人が活動する音が全くしない。
さらにホールには箒が落ちており、ここで何かが起こったのでは無いかという不安が頭をよぎる。
厨房の奥を見える範囲で確認し、次に中堂の今居る場所からは死角となっている いつも座る席をゆっくりと確認してみれば、そこに彼女がいた。
ソファの背凭れに寄りかかり、手はだらんとしたままの彼女の姿を見て一瞬息が止まるかと思ったが、よく見れば胸も上下しており呼吸しているのがわかる。
「寝ているだけか」
ふーっと息を吐き身体の緊張を解く。
念のために露わになっている首に触れ脈を測ろうと手を伸ばすが、その手を触れる寸前で引っ込めてしまった。
「……」
中堂は手持ち無沙汰のまま席につくでもなく、落ちていた箒を近くのテーブルに立て掛けたりしてみるが彼女は全く起きそうもない。
しばらく考えて、中堂の着ている上着を彼女の身体に掛けてやる。
すると彼女は何も無い通路側に寄りかかろうと、だんだん倒れてくるものだから中堂は慌てて彼女の隣に座り肩を貸すことになってしまったのだ。
はぁっと溜息をついたものの、存外居心地は良く、中堂も目を閉じ彼女の寝息に耳を澄ませる。
少し眠っていたのか、目を開けると隣で彼女はまだ寝息を立てている。
ここ5日間の疲れが溜まっていたのだろう。
朝も早く、珈琲の試作も作っているようだったし、慣れない仕事をこなしてきている。
ここを出る時間まであと30分。
彼女の作る珈琲を諦め、彼女が起きるのを待つことにした。
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みく(プロフ) - 星野将希さん» はじめまして。コメント及びご指摘ありがとうございます。気を付けてはいたのですが変換ミスしていました……。なるべく誤字がないよう努めてまいりますので、宜しければこれからもよろしくお願い致します。 (2018年2月23日 20時) (レス) id: d43cb19d57 (このIDを非表示/違反報告)
星野将希(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。突然ですが、水澄の「み」は「水」ではなく「三」だと思うのですが…。作者様のあえてなら失礼いたしました。更新頑張ってください。 (2018年2月23日 19時) (携帯から) (レス) id: 2e2dbe8a41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みく | 作成日時:2018年2月21日 4時