カルテ25 ページ26
そうして、なんやかんやしているうちに8年が経ってしまった。
しかし…んー、久しぶりだ、ここの感覚。
今日から働くのは私だけだから1人で来ることになっていた。
「今日から働く河内さんですか。」
名字を呼ばれ、ふっと振り向く。
「はい、河内 Aです。ご無沙汰してます、緋純せんせ___いや、緋純院長。」
久しぶりに会った先生は全く年を感じない容貌だった。
髪が少し伸びただろうか。
「大人になったね、A。」
え!?
「そんな、いいんですか？その…。」
言葉が出なかったがなんとなく伝わったようだ。
「別にいいよ、じゃあ、行こう。とりあえず俺の部屋に案内…しなくていいか？」
「そう、ですね。」
「どうする？Aは小児科だからそこの先生だけ集めようか。」
「なんでもいいです…なんて。」
ふふ、と笑うと、ノックがした。
「あ、来てたね。」
白衣に軽く手を入れ、にこ、と笑う先輩医師。
名前は昔から知っていて、その上には精神科、と書いてある。
「久しぶりだな、この3人で集まるのは。」
すると彼は___河内先生は照れ臭そうに表情を変えた。
「そうですね、ま、あの頃とは多少違ってるけど。」
私はふっと河内先生を見る。
河内先生が左手だけを出してちらつかせた。
窓からの光で薬指の付け根がきらきらと輝いた。
私も左手を出した。
「そっか…だから、か。おめでとう。」
だから、とは。
きっと名字が違うことか。
「緋純先生も無事に院長に…おめでとうございます。」
「いや、俺は2人に紹介されなきゃなれなかったから、そこは2人のおかげだよ。」
そっか…。
「私たちはそれぞれ病気も完治していますので、思う存分使ってくださいね。」
なんて。
「相変わらず面白いことを言うね。じゃあ、そろそろみんな集めよう。麗央くんは持ち場に戻れよ、Aは準備だ。」
河内先生、と呼ぶのも忘れていたようだ。
今日から小児科医。
行こう、恩返しをするために、ここで…!!
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます！ ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (
レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな？という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます！病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです！続きを楽しみにしていますね！ (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：円香 | 作成日時：2018年4月23日 17時
