俺には、お前の言うことが理解できねえよ。【鬼滅の刃】

113　『敗北を喫す』 ページ28

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　後ろから絶叫が聞こえたのを無視し、宇髄は「ひ」と僅かな悲鳴を漏らす鬼へと迫る。


　あと少し、そう思った瞬間にまた影が伸びてそれを邪魔した。視界を遮るようにいっぱいに広がった影を千々(ちぢ)にさせると同時に、恐怖で顔を歪めた鬼の体を掴む。──ようやく、掴んだ。

　あれだけ強い血鬼術を持っているのだ。血鬼術・身体能力の高さ=(イコール)喰らった人の人数とほぼ変わらないのだから、この鬼が一体どれだけの人間を食してきたのか考えるまでもない。考えたくもない。



　──その罪の、清算の時がやって来たのだ。



「ぃやだ」



　無意識に零された本音と、数えることすら億劫になる数の影。回りくどい動きよりとにかく宇髄を止める為だけに噴出された影が、宇髄の致命傷を真っすぐに狙っていき──、




「────」




　残り、数センチ。
　残り、数コンマ。


　それが足りなくて、ただそれだけが足りなくて、鬼は──音柱・宇髄天元の前に、敗北を喫したのだった。




＋ ＋




　物心つく前から、彼は兄と比べられていた。



『やっぱりダメだな』『兄弟でも』『血は繋がっているのにねぇ』

『────』





『あの子の方が、すごかったわねえ』





　彼の父は財閥の中でも屈指の実力者だった。なので欲しいものは幼い頃から基本何でも手に入ったし、彼の父は放任主義で何かをしなさいと命令することもほとんどなかった。別に彼と彼の兄を愛していなかった訳じゃない。愛しているからこそ、こうすることが良いのだと彼の父は思っていた。

　彼の母は父とは違い、むしろ過保護であった。何をするにしても子供のことを優先しているし彼と彼の兄で優劣をつけたことなど一度もなかった。ただの一度も、だ。兄の方が圧倒的に優秀で、圧倒的に財閥にとって良い人材であったのにも関わらず。



　両親は二人とも、良い人間だった。


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大正時代だとまだ財閥が解体されてないから出せるんだよねー。

現代で財閥って言っちゃうと「ん？」ってなるけど、こういうトコ昔の作品は良いんだよなあ。

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