【stgr】潮鳴りのする雲を抜けて３【青井らだお】【完】

20　『夜は来ずとも遠からず』 ページ6

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　オルカはAさんのこと、どう思う？


「すごく心配だ！ Aは優しすぎるんだな。悪いってことじゃないぞ、オルカはいっつもAの優しさに助けられてる！ Aが戻ってきたらな、すぐにいつもありがとー！ って言ってやるんだ。馬ウアーにもAが戻ってきたらすぐ教えてくれって頼んだんだぞ」


　今すぐ会いにいこうとは思わない？


「それはAの選択だ。Aが、……もしかしたら、Aはもう警察なんて来たくないって思うかもしれないだろ？ そしたらオルカは寂しいけど、わかったって言うよ。でもAがまだ警察がんばりたいって言うなら、オルカは全力でAのこと助けてあげるんだ。Aの行きたい方向に、オルカは背中を押してあげたい。

　だからAが自分から行動するまで、オルカはいつまでだって待つんだ」



　まるんはAさんのこと、どう思う？


「や、まあ、普通に心配っすよ。俺もまあ、ナツメさんのことはショックでしたけど……Aさんはやっぱ優しいんすね。俺がそこまで思うことは、たぶん他の誰でもないだろうから。逆にうらやましい。でも、そういう人間も警察には必要ですよね」


　何をしてあげられると思う？


「いま、ですか？ それは──ないでしょ。人に負わされた傷は、他のもので誤魔化されることはあっても、治るもんじゃあないと思います。だいたい、Aさんも、俺にとっちゃらだお先輩と一緒です。

　信じてます、ずっと。あの人はずっと正しい」



　リコさんはAさんのこと、どう思う？


「なにしてるのかなあ、って……。外出とか、ちゃんとしてるんでしょうか。最近市民の人からも、Aさんは？ って訊かれることが多いんです。Aさんがどれだけ街のために尽くしてたのかが、すごくわかります」


　Aさんの代わりになれると思う？


「はっ？ いえ、それは、誰でも無理ですよ。……Aさんにとってナツメさんの代わりがいないように、誰にだって、その人の代わりなんてないんです。ナツメさんが、警察にとって必要だったように。

　Aさんはたったひとりです。たった一人が、私たちには必要なんです」


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