【男主】もう一人の六年生は任務中 玖【忍たま】

大切なモノ 十段 ページ25

side 食満留三郎

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諸泉「組頭！ ご無事でしたか！」


雑渡「あんな足止めに捕まってる時間はないからね。やはりこの一件、黒脛巾組で間違いなさそうだ。」



















駆け足で暗い森の中を彷徨っていると、

背後から気配を感じた。




振り返れば、

先程分かれたタソガレドキの組頭。




見たところ怪我はないようだ。



















雑渡「これでは埒が明かない。Aくんを攫った後、自分ならどうするかを考えよう。」


伏木蔵「うーん、僕なら……連れて帰ります！」


留三郎「確かに、それが一番しっくりくるな。」


雑渡「となれば、目指すは陸前。そこに辿り着く前に彼を見つけ出す必要がある」



















ここから陸前までは距離がある。




下手すればそこに着くまで

七日は見積っておかないと…





タソガレドキの二人が顔を合わせると、

今度は俺達の方を直視する。



















雑渡「これは先の見えない闘いになりそうだが、君達はどうする？」


留三郎「どうするかなんて決まってるだろ！」


乱太郎「A先輩を連れ戻さないと！」


伏木蔵「きっと怪我してるよね…」


諸泉「本当にそれでいいのか？」



















俺を含め乱太郎と伏木蔵が意思を示す。




迷ってる時間はない。

………はずなのに…





続けてやってくる問いに

一瞬決意がグラつく。



















伊作「それでいいのか、ってどういう意味ですか？」


諸泉「Aくんを連れ戻すのは反対しないが、相手が相手だから……。それに…」


乱太郎「私たちがA先輩の所に行くと何か不利なことでもあるんですか？」



















伊作と乱太郎の言葉に

明らかな詰まりを見せる。




この事態に紛れて何か企んでいるのか…？




いや、企んでいる。

そうでなきゃおかしい。




不信を覚える俺達に組頭は言った。



















雑渡「私達についてくるのは構わない。だが、それなりの覚悟を持つことだ。」


伏木蔵「覚悟って、長い闘いに挑む覚悟ですか？」


乱太郎「陸前まで休まずに走り続ける覚悟はあります！」



















覚悟だと





乱太郎や伏木蔵の言った覚悟も大事だ。

でも、きっとそれだけじゃない。



















与四郎「大切なものを失う覚悟だ」




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