ありがとう×2 【にのみや】-完結- (ページ11)

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「ｶﾞﾗｹ-? 」

そう言うと、満足そうにﾆﾉが笑う。

「出してきてみな」

「何を？」

「俺の前の機種」

あっ、と声が漏れた。

ﾆﾉは機種変更をした時、古いｶﾞﾗｹ-をそのまま家に持ち帰り、ｺﾝｾﾝﾄ横に箱を置いて中に保存してある。どうせｶﾞﾗｹ-は下取りないからね、と言っていたのを思い出す。

ﾃﾚﾋﾞ横のｺﾝｾﾝﾄに近づき、箱からｶﾞﾗｹ-を取り出す。しばらくぶりに充電を入れると、簡素な待ち受け画面が現れる。
ｶﾞﾗｹ-ってこんなに画面小さいんだ。

「ﾒ-ﾙ画面見ていい？」
「いいですよ？」

一言断ってからﾒ-ﾙ画面を開く。送信ﾌｫﾙﾀﾞはほぼ全てﾃﾞ-ﾀ移行して空だったけど、一通だけ未送信のﾃﾞ-ﾀが残っていた。

開くと、ここにも。

" 1999*4##111 "______ それだけが書いてある。

編集ﾎﾞﾀﾝを押して、ｷ-ﾎﾞ-ﾄﾞを押す。

ｽﾏﾎとは違う。あいうえおと数字と記号が一緒になったｷ-ﾎﾞ-ﾄﾞ。わざわざ切り替えて打ち込んでいた時代をほんのり思い出す。

あいうえおﾓ-ﾄﾞで、暗号を押していく。

1, 99, 2*, 4##, 111 .......

ﾃﾞｨｽﾌﾟﾚｲに打ちこまれたひらがなの五文字。

1992*4##111は、 " ありがとう " になっていた。

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