ありがとう×2 【にのみや】-完結- (ページ1)

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虹ページ1

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今日は、彼の誕生日だった。

いつも私達は、お互いの誕生日を、ささやかにお祝いすると決めていた。

彼______ 愛称はﾆﾉ。ﾆﾉと私は共に働いていて、同棲をして三年が経つ。

今日も本当は彼と家でお祝いをするつもりだった。さあ帰るぞ、と落ちてくる夕日を見た。
だけど急な残業が入って、抜けられる状況じゃ無くって、結局私はLINEを打った。

『ごめん、今日は早く帰れない。先に帰ってゆっくりしてて』。

既読はすぐついた。でも返事はない。
大抵、返事が早い人じゃない…、そう思った途端、LINEの通知が鳴った。

『そう』_______ それだけが、返事だった。

拗ねてるな。
付き合いの中で、何度かこういう返事が来た日があった。そういう時は大抵彼は拗ねていて、いつも家に帰らず、いつも同じ場所に身を隠す。

「部長」
「なんだ？」

忙しくｷ-ﾎﾞ-ﾄﾞを叩きながら、部長は怪訝そうに顔を上げた。

「 1時間だけ、抜けさせてください。ちゃんと帰って来ますから」

「は？お前何を…… こら、待て！」

部長を振り切り、財布と携帯だけ持って職場を出る。連絡ﾎﾞ-ﾄﾞに書くのも惜しくて、仲良い職場の先輩だけに詫びの連絡を入れた。

まだ外は辛うじて夕方だ。
駆け足で、いつもの場所に向かう。

家の近くの公園。まだ誰も居ない。

今日は私が先に着いたようだ。

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