夢桜５* (ページ1)

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翔さん達の部屋のドアをノックする。

「翔さん。孝之さん。Aです」

ドアが開き、翔さんは優しく笑う。

「和から話は聞いてる。どうぞ」

「失礼します」

そうか・・・。和さん話したのか・・・。

「和もお嬢も落ち着くまでここの部屋にいていいよ」

孝之さんが優しく微笑みかける。

「すみません」

「まぁ、原因は和の嫉妬だからねぇ」

「俺だってお嬢みたいな可愛い娘と恋仲で

俺の知らない男と仲良くしていたら妬いてしまうさ」

和さんが嫉妬・・・？

だからあんなこと・・・。

「あたし樹先輩とは何も・・・」

「分かってるよ。和も分かってる。

でも、あの子は自分が人斬りが故の劣等感が強くてね。

それに過去、目の前で大切な妹を亡くしている。

大切な人を自分は守りきれるのか。壊すことしかない自分が

大切な人を守れるはずなんかないって。

愛しい人が幸せになれるのなら、俺なんかやめてとか

そういうことすぐ言っちゃうんだよね。自分は汚れきってる

人間だから大切な人を巻き込みたくないって」

「他の人のところで幸せになってとか言うけど、

結局は妬いちゃうし、自分のところに戻ってほしいって

いう感じだからね。そういうところ素直になってくれないとね。

俺がお嬢にちょっと近づいただけで斬られそう」

「孝之さんがお嬢さんに触れる距離が近いからだよ」

「反省してまーす」

和さん辛くさせて何してるのあたし。

最愛の人を支えるって決めたのに、和さんの気持ち何も分かっていなくて

結局は和さんを悲しませて。

和さん以前に何度も、俺なんか・・・って言ってた。

なのにあたしは何も気づかず・・・。

そう思うと、涙がポロポロと零れた。

泣いたって何も意味ないのに。あたしは泣くことしかできない無力さ。

「お嬢さん？！」

「翔が泣かせた」

「え？え？お嬢さん！泣かないで？」

翔さんは手拭いであたしの涙を拭いてくれる。

「翔さんのせいじゃありません。

ただ、あたしの無力さが不甲斐なくて・・・」