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「そ、それって……」

 
 嘘だ。朦朧としてたとはいえ勘違いしていた? それじゃあ私は……


「……気持ち。マイキーには伝わってるよ」


 ……ダメだ。それは、ダメなんだ。
 
 この思いは、私の中でとどめようとしていたのに。
 ただでさえ友達ってだけでも彼を苦しめることになるのに、それ以上なんてもっとダメだ。

 それなのに。その思いを知っていたのに、マイキーは何も言わずに普通に接してくれていたのか。
 
 場地くんを失ったあの時、マイキーはどんな気持ちで私を抱きしめ返してくれたんだろう。


 ほらまた、マイキーを苦しめる。
 無責任なことをする。


「……っ、私、私……」

「……マイキーね、家でもずっとAさんのこと話してるの。すっごく楽しそうでね」


 自己嫌悪と卑屈の念に駆られていると、エマちゃんが握った手の力を強めて、私に優しく笑いかけた。


「ウチから言うのもなんだけど。……マイキーもさ、Aさんのこと好きなんだよ。それだけは、知っておいて」


 点滴が滴り落ちて、私に流れ込む。その血液が全身を巡り巡っていることなんて知らないし、感じられないのと同じように。意識せずとも、確かにある。その事実に、嬉しさを抱いてしまう私というのが。


「……だからさ、最後くらい自分に素直になってもいいんじゃないかな。だって、気持ちを抑えたまま死ぬなんて、そんな悲しいこと、ウチ嫌だよ。女の子なら憧れていいんだよ。漫画みたいに胸のときめくこと」

「エマちゃん……」

「ウチはAさんの気持ちも、考えもわからないけど、友達として、恋を応援したい」

 
 その末に、幸せがないとしても。
 ただ一瞬の幸せのために生きろと、そう言うの。


 エマちゃんはそのまま涙を流して、私に縋りついた。
 私もそれにつられたのか、それともエマちゃんの言葉が心に響いたのか。私も堪えていたものを吐き出すように涙を零した。



 
 嗚呼神様、どうして私の人生をこうも辛くするのですか。どうして私は幸せになれないんですか。
 奇跡でも起きて、病気が治ってくれればいいのに。

 神を恨みながら、神に救いを求めるという矛盾。



 この苦しみも、秋の空みたいに簡単に移り変わっていければいいのに。



(……マイキーに、会いたい)



『マイキーがオマエがいなくても生きていけるようにしろよ』


 ごめん、場地くん。約束守れそうにない。

 ……依存してるのは、私の方かもしれないから。

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ぱーぷる姫(プロフ) - 純粋に狂った愛でした。ボロボロ泣きました。本当にありがとうございました。 (2023年1月27日 7時) (レス) id: be661beda4 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - めっちゃ良かった!涙が止まらなくて久々に号泣しちゃいました。素敵な作品を読めて嬉しかったです☆ (2022年3月8日 14時) (レス) @page49 id: e10675e39d (このIDを非表示/違反報告)
梅累(プロフ) - りゃんさん» ありがとうございます……!嬉しいです。読んで頂き感謝です!! (2021年11月7日 20時) (レス) id: 62e7d56914 (このIDを非表示/違反報告)
りゃん(プロフ) - 素敵です…… (2021年11月7日 18時) (レス) @page50 id: 9dca799aaf (このIDを非表示/違反報告)
梅累(プロフ) - ミイさん» コメントありがとうございます。この作品が誰かの心に届いたと思うととても光栄です。まだまだ至らぬ部分もありますが、これからも応援よろしくお願いします。 (2021年9月2日 17時) (レス) id: 62e7d56914 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梅累 | 作成日時:2021年8月31日 12時

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