たとえ貴方が【旧多二福】*短編集*

溺れる*微R ページ2

【旧多SIDE】


僕達は、体だけの関係。





「A〜、今晩は空いてます？」

『旧多…ん、大丈夫』




淫らに体を重ねて、快感にすがって、お互いの欲を満たすための関係。





『……っあ、う…ぁあ、に、むら…!!!///』

「ん…A、イっちゃった？でも僕まだ足りないな〜……もう一回付き合って？」




最初は、本当にそれだけだった。


Aも大勢いるつまらない女の一人だと思っていた。




『……ん〜…旧多〜…腰砕けそう』

「カルシウム不足ですよ」



Aの横顔を見つめる。



胸が苦しくなる。



Aが僕を呼ぶ。



胸が苦しくなる。




あぁ、苦しい。


こんな関係、苦しくて仕方ない。


いつからか、そう思っていた。




「ねぇ、A」



『なぁに、旧多？』






きっと、この苦しさは









行為の時だけ下の名前で呼ぶ癖も


僕に見せる笑顔も


ふと見せる悲しい顔も





全部、ぜんぶに









僕は、溺れているのだ。







今はまだ




「……何でもないよ」







心地良い温度の君に溺れたままで。





「(好きですよ)」

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