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治「優くん。俺片付けるけてから戻るけどどないする？」
『手伝うわ』
治「今日帰って来たばっかやろ、休まんくてええの？」
『世界の一ノ瀬君を舐めんな』
一ノ瀬は皿を片付けながらケタケタ笑っている。
治はそんな一ノ瀬の姿を見てきゅっと唇を閉じる。
『やっと酒抜けてきたかも』
治「イタリアで大丈夫やったん？」
『何が？』
治「その...襲われたりとかせぇへんの？」
『あー...ないない』
一ノ瀬はカチャカチャと皿を触っている。
『治。信介とは仲よぉしとるか？』
治「え、まぁ」
『パートナーなんやろ？』
治「(仕事のか)...せやな」
『治ならええよ。俺が許したる』
治「え、優くんの許可いるん？」
『当たり前やろ！やって信介やぞ！俺の相棒やし！』
治「ふはッ。そうなんや。ほなこれからも仲よぉさせてもらいますわ」
治は目を細めて笑っている。
そんな治の顔を見て一ノ瀬はホッとすると同時にチクッと胸が痛む。
『(これは多分嫉妬や。信介をとられた嫉妬)』
治「優くん」
『ん？』
治「どないしたん？」
『....ねむなってきた』
治「やっぱ疲れとるやん」
『疲れてへんけど急に眠気きてん』
治「時差もあったししんどいよな。ぼちぼち家戻ろうか」
治は腰に巻いていたエプロンを外していく。
そして一ノ瀬に向かって「んッ」と手を差し出す。
『何や、その手は』
治「つながへんの？」
『なんでやねん』
治「昔っから優くんは危なっかしいからなぁ」
『いつの話してんねん。もう24や』
むっとしている一ノ瀬を見て治は口元が緩む。
そして治の家についた途端一ノ瀬は電源が切れた玩具のようにぱたんと倒れる。
治「優くん！？ちょッ...どない...って寝てるやん」
『ぐぅお....』
治「...はっは。かわええなぁ」
治は一ノ瀬を抱きかかえベッドまで運んでいく。
かつて好きだった人。
一ノ瀬優は世界トッププレイヤーだ。
そんな彼の邪魔にはなりたくないから可愛い後輩に戻ろうとした。
治は寝ている一ノ瀬の前髪を撫でるように触る。
治「....諦めるとかやっぱ無理や」
そして前髪をかき分け額に唇を落とす。
治「おやすみ、優くん」
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作者名：みる | 作成日時：2023年6月14日 22時
