四分の一どころか普通の人間でした (ページ8)

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幼少期⑥ー奴良組三代目、奴良リクオページ8

見慣れた本家の妖怪達の姿にほっと胸を撫で下ろす。

先頭にいるのは白銀の髪に紅い瞳を持った少年。

薄らと記憶の淵に残る、父親の面影。

「よかった…無事で。カナちゃん、怖いから目つぶってな」

そして、その言葉に確信する。

お兄ちゃん…。

そして、絶望する。

自分はやはり、ぬらりひょんの血を受け継がない唯の人間なのだと。

「子供を殺して大物ヅラか。オレを抹殺し、三代目を我がモノにしようとしたんなら…ガゴゼよ。てめえは本当に…小せぇ妖怪だぜ」

その言葉に目の前の少年がリクオであること、そして彼がまだ生きていたことに焦ったガゴゼとその部下達と本家の妖怪達との間で交戦が始まる。

「くそっ…！！殺せ！！この場で…若を殺せ！！ぬるま湯にそまった本家のクソどももろとも！！全滅させてしまえ！！」

しかし、本家の妖怪達に歯が立たずガゴゼの部下たちはやられてしまう。

驚愕し、その勢いで掴まれていたAは地面に落ちる。

その身体にはしった余りの衝撃に、痛みで意識が飛びそうになる。

「…っ」

その様子を目にしたリクオは思わず目を見開いた。

誰よりもぼろぼろになって傷ついているのは、自分自身の最愛の妹の姿。

目の前で傷ついているものを放っておけない心優しい妹は、恐らく友人が傷ついている姿を黙って見ておくことができずに飛び出したのだろう。

自分の恐怖心には、見て見ぬ振りをしてー。

そして、そんな彼女の頭には、自分自身の身の安全というものは一切考慮されていないのだろうということも。

動揺したガゴゼは、ふと目についたカナや清継達の方へと向かっていく。

「フハハハハハハ、ザマぁ見ろ！！こいつらを殺すぞ！？若の友人だろ！？殺されたくなければオレを…」

しかし、それよりも速くリクオがガゴゼを斬りつける。

「なんで…なんで…貴様のようなガキに…ワシの…ワシのどこがダメなんだー！？妖怪の誰よりも恐れられているというのにー！！」

「子を貪り喰う妖怪…そらあ恐ろしいさ…。だけどな…弱えもん殺して悦に浸ってるそんな妖怪が、この闇の世界で一番の“おそれ”になれるはずがねえ。情けねえ…こんなんばっかかオレの下僕の妖怪どもは！だったら！！オレが三代目を継いでやらあ！！人にあだなすような奴ぁオレが絶対ゆるさねえ。世の妖怪どもに告げろ。オレが魑魅魍魎の主となる！！全ての妖怪はオレの後ろで百鬼夜行の群れとなれ」

その言葉を最後に、Aの意識は途切れた。