【文豪ストレイドッグス】私は待っていた

第四十二話 ページ45

ーー貴女side




???「ーー」

貴「…？」


声がする。

なんだろう…すごく懐かしい声。

…思い出せない…誰だっけ…？


???「ーーA」

貴「っ！」


私は目を開けた。

視界いっぱいに広がる、懐かしい顔。

耳に心地いい声。

優しげな瞳…。


私は驚き、頭を勢いよく上げてーー


???「あたっ！」

貴「いたっ！」


おでこを強打した。


そりゃそうなるわな←


貴女・???「「ごめんなさい！大丈夫！？」」


息ピッタリに私たちは言った。

私はじっと見る。

優しい瞳も私を見ていた。


???「ーーーぷっあははは！」


不意に笑い声を上げた。

笑顔…変わらない、変わってない。

私も自然と微笑んでいた。


貴「お姉ちゃん」

姉「なーにー？フフフッ」


お姉ちゃんはクスクス笑ながら言った。


貴「会えて嬉しい…」


…ん？

そういえば夢の中で会ったか。

なら話せて嬉しい？

…あ、そっか。


やっと一緒にいられる。

だから嬉しい。


姉「ーー本当に？」


ピタッと笑い声が止まった。

お姉ちゃんの表情が真剣なものになる。


ギクッてした。


姉「…Aが嘘つかないのは知ってるよ
でもさ、本心じゃないよね？」


真っ直ぐな瞳。

何もかも見透かしているような。

…見透かされてるんだろうけど…。


姉「我慢、してない？」

貴「…」

姉「ん？」

貴「…………………………………………してる」

姉「何その間w」


お姉ちゃんはクスクス笑う。


貴「…変わらないね、お姉ちゃん」

姉「Aもね」

貴「…うん、変われてない…また皆に迷惑ーー」

姉「あー違う違う！そこじゃなくて！」


じゃあどこ？

私は首を傾げてお姉ちゃんを見た。

そしたら何故かお姉ちゃんは身震いしだして…


姉「私の天使」


真顔で抱きつかれた。

うん、変わってない。


黒いフワフワした髪が頬を撫でる。

懐かしいなぁ…。


姉「…Aはね」


抱きついたまま、お姉ちゃんは話始めた。


姉「優しい子だよ

貴女が街を歩いたとしたら
きっとすれ違う人、皆の幸せを願っちゃう

Aが優しいまま変わってなくて安心した」


お姉ちゃんが私の髪を優しく撫でた。

まるで泣いている子供を諭すように。


姉「でもね？A」


ふっと身を引いて、額と額をくっつけた。


姉「もう少し我が儘言っていいんだよ？
私みたいに！」

貴「…でも」

姉「怖い？」


コクと頷く。


頷いて、目の前の青い瞳を見た。


昔と変わらない笑みが、そこにはあった。

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