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第二十一話 ページ23

ーー貴女side



白を部屋から出してから、どれくらい時間がたっただろう…。

私は白が帰ってくるのを、ただただ閉口して待っていた。


足が痛くて身動きが取れないため、ずっと座りっぱなしだ。

でも椅子がフカフカのお陰で、長時間でもお尻は痛くない。

いやぁ、よかったよかった。



誰もいない部屋で、私はボーッとしていた。

頭にはずっと、他人の思考が流れている。

誰のか…は、今は面倒なので詳しくは読んでいない。

聞き流している状態だ。


…ていうか、よく注意して聞いたり、後で聞き返したりしないと内容はよく分からない。

だって、たくさんの人の思考が流れてるから。

男なのか女なのかも判別するのも難しい。


私は慣れたからいいけど…慣れてなかったら普通の人は発狂すると思うな。


…ポートマフィア、武装探偵社。

今頃は皆外かな。

御主人様が帰ってくる前に、帰してあげないと。


…外、かぁ。


いいなぁ。









ーーーーガチャンッ!




私は耳を疑った。

すぐに…開いた?

嘘…なんで?

白は自分では開けられないから、侍女が来たときだけ中に入れる…のに。


どうして開いたの?


その答えはすぐにわかった。

私は後悔した。

聞き流さずに、ちゃんとしてればよかった。

そしたら、ここにたどり着く前に呼び掛けられたのに…。





ーーーーバンッッ!!



ドアを蹴破る音がした。

開いた…。




わかってる。


私が聞き流していたのは、外のことをあまり深くは知りたくなかったから。

知ってしまったら憧れてしまうから。

憧れたらここから出たいと願ってしまうから。

願ってしまったら苦しいだけだから…。



そう、私はここから出たい。

外に出たい。


いけないことなのに。


私は待っていたのかもしれない。

ドアを蹴破る、その音を。


誰の温度もない部屋で、冷えきった手を伸ばして、ただ閉口して…。

私は待っていた。

部屋から出られる、その日を。


心からーーー。






嗚呼、私は諦められていなかった。


誰にも助けを求められない。

そんな弱い自分を、

塞いだ私の居場所なんて、

誰にも分からないと思いながらも…。


ずっと、ずーっと…

五年前のあの日に失った物の一つ。

『自由』を。


望んではダメだと言われても

私はどうしても捨てきれなかったんだ。



求めていたんだ。




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 









 
 
 
 







 
 
 



 
 



ーーーーー私は待っていた。

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ニコな(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます!合ってますよ!おめでとうございますo(^-^o)(o^-^)o気づいてくださってありがとうございました(*^^*) (2016年11月5日 21時) (レス) id: 15e640116f (このIDを非表示/違反報告)
ニコな(プロフ) - 藍さん» 落ちはまだ決めていません。けど、変なフラグ立っちゃってますね(笑)後々アンケートするかもなのでよろしくお願いします(*´ω`*) (2016年11月5日 21時) (レス) id: 15e640116f (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - 読ませていただきました!!曲ってノ〇ガミの午〇の待ち合わせですかね?合っていなかったらすいません (2016年11月1日 22時) (レス) id: fb3b88237c (このIDを非表示/違反報告)
- これってー中也さん落ちせですかー?ミー的には中也さん落ちが良いんですけどーまぁ読めばわかりますよねー続き読んできますー (2016年10月30日 15時) (レス) id: b5991fbf2b (このIDを非表示/違反報告)
ニコな(プロフ) - よるるさん» よるるさん読んで下さってありがとうございました!頑張ります(≧▽≦) (2016年6月8日 22時) (レス) id: 15e640116f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニコな | 作成日時:2016年5月25日 23時

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