【文豪ストレイドッグス】私は待っていた

第十九話 ページ21

　


しばらく走った後だ。
　
ーーータタタ…


中「ん？
兎、どうした？」


兎は走るのを止めて、ノートとペンを床に置き部屋の前で跳び跳ねていた。

ガシッとドアノブに掴まった後、兎は頑張った。

全身を使ってドアノブを捻る。

そして掴まったまま、後ろに引く。


敦「…言ってくれたら、次は僕が開けるよ？」


ゼーハーゼーハー肩で息をしている兎に、人虎はしゃがんでいった。

兎は顔を輝かせ、嬉しそうにコクコク頷いている。


芥「…この部屋は？」

樋「物置部屋…みたいですね」


中に入り、部屋の様子を見た。

たくさんの物が乱雑に詰め込まれた部屋だ。

長い間放置されていたんだろう、埃っぽい。

人の気配は一切しないから、ここはAのいる部屋じゃねぇな。

…なら、何でここへ連れてきたんだ？


兎はピョコピョコ跳ねながら、部屋の奥へ進んでいく。


谷「ーーあ、あれ…」

敦「何でしょう…宝箱？」

国「貴様はアホか」


国木田が人虎の頭を叩いた。

いてっという声が聞こえた。


…一瞬でもあの箱を宝箱と思った自分を恥じた。


兎はある物の上でピョンピョン跳ねていた。

その物は、結構な大きさの箱。

ただの箱…というには装飾が豪華だ。

頑丈そうだな、鍵もかかってる。


芥「…異能力『羅生門』」

中「お？」


芥川の羅生門が発動した。

そういや、地下室以外は香りはしなかったな…。

ここまで来るのに約十五分。

異能力規制剤の効果はそんくらいってことか。

効き目は約五分後ってとこか。


芥川はそのまま箱の錠を喰った。


中「おい兎、そこどけ」


蓋を開ければ


太「私のコート！」

中「俺の帽子！」

与「妾の鉈もあるねぇ」

宮「あ、僕の麦わら帽子！」


そこには取られていた物が全てあった。

勿論拳銃も。


俺達は急々とそれらを装備した。

あぁいつもの感じだ。

安心する…。



ーーーちょんちょん



中「あ？」


足をつついて、俺達の目に着こうとしていた。

部屋の入り口のところまで走り、また手招きする。


そして兎は部屋を出ていった。


中「おい！」


急いで追いかける。


樋「敵はなぜ先輩の外套を奪わなかったのでしょうか？」

中「判断ミスとかうっかりなんじゃねぇの？
ま、そのおかけで取り戻せたんだ
深く考えんな」

樋「はい」


…自分で言っておいて何だが。


俺は走りながら考えた。

そして田中の薄気味悪い笑みを思い出す。


あの腹黒がそんなミスするわけねぇよなぁ…。

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