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「西条さん、ちょっとええかな?」
帰りのホームルームが終わった直後。
わりと派手目の女の子三人に声をかけられた。
「あ、はい…」
なんとなく察しがついてしまう。
これからされるであろう事に身を震わせて、彼女たちについていった。
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やって来たのは校舎の外れの空き教室。
「ねぇ、私たちさ、朝見てもうたんよね」
「自分、大毅くんにチョコ渡してたやろ」
なんでそれがいけないの?
あなたたちだって渡しているんでしょ?
「そんなまずいもん、大毅くんが食べてくれるわけあらへんのになぁ笑」
「ほんまアホやな笑」
いつになっても慣れない心の痛み。
こんなの日常になったはずなのに。
「ほんまに邪魔なんよねぇ。いっつも大毅くんのまわりくっついてさあ」
「調子乗っとるの?幼馴染やもんなぁ笑」
肩を突き飛ばされて、床に倒れる。
その後も、叩かれたり蹴られたり。
誰かに助けを呼ぼうにも、そんな勇気どこにもないって分かっているから。
「この中に入ってたりせぇへんよな?」
投げ捨てられたサブバッグ。
その中身を漁る彼女たちに、声にならない声で叫んだ。
「やめっ、だめっ。いや!」
その中には、のんちゃんに渡すクッキーが入っているのに…。
でも、たくさん痛めつけられた体は、何かにきつく縛られたように動かない、
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「あ、みぃつけた」
どうして私の人生は、こうもうまくいかないのかな?
私悪いことしたかな?
悪いことしたならいくらでも謝るから、
全力で償うから、
そのクッキーだけは、お願いだから、触らないで。
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作者名:えぇふぇす | 作成日時:2018年2月15日 23時