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後ろは行き止まりで、私は成す術なく壁に押し付けられた。
次の瞬間、首筋の鈍い痛みに血の気が引いた。身体から何かが抜かれて行くのが分かる。宮侑の肩を押すが、離れてくれる様子はこれっぽっちも無くて、だんだん呼吸が荒くなっていくのが分かった。
少し経って、吸血が終わったのか、鋭い犬歯が首筋からゆっくりと抜かれた。
立っていられず、ズルズルとその場に座り込んだ。私のぐったりした様子をみて宮侑はケラケラと笑う。
「吸いすぎたか？ごめんごめん、美味い飯作ったるから許してや。」
口元に付着した私の血を手の甲で拭って、宮侑は何事も無かったかのように朝食づくりを再開した。噛まれた首筋がズキズキと痛む。
出された朝食の盛り付けはＴＨＥ・男って感じで微妙だったが、味は普通においしかった。うずうずした顔で美味しいかどうか聞かれて、美味しいと答えるとガッツポーズをして喜んでいた。
支度を済ませ、講義の為に家を出る時間になると宮侑は簡単に外に出てくれた。意外だと言うと「俺も講義あんねん、今日。」と言われて、なるほどと納得した。最寄駅までは一緒に行き、宮侑の家と私たちの通っている大学は逆方向なので駅のホームで分かれる。
「家には入れないんじゃなかったっけ。」
「一日経ったらたいてい許してくれんねん。まあ、正確に言えば口は聞いてくれへんねんけど、ポストに鍵入れてくれるから部屋には入れるようになる。兄弟ってそんなもんやで。」
「兄弟、か。」
「そういや、Aちゃん兄弟おらんかったか。俺の双子に会わせたいところやけど、惚れられたら困るからあかんわ。顔ソックリやねん。俺とサム。」
サムというのが宮侑の双子の名前らしかった。宮侑はバリバリの関西弁を使っているからそんな風には見えないが、実は外国人だったりするのだろうか。宮侑は知れば知るほど、謎が深まっていくようなそんな人物であった。
ひらひらと手を振って、反対方向の電車に乗って帰った宮侑を眺めながら、「あ。」と声が漏れる。
連絡先、聞くの忘れた。宮侑が私を刺したことや今日の朝首筋を噛んだこと、もちろんそれは忘れていなかった。でも、それ以上にもう一度会いたいと思うのだ。たとえ、殺されたとしても。
同じ大学に通っているにしろ、何学部にいるのかも知らない。友達もロクに居ない私が、宮侑を探せるはずがない。馬鹿だ。
自分を責めていたころ、電車が丁度来たので仕方なくそれに乗った。
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水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です！！！侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい！！待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (
レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……！ (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！更新がんばりたいと思います……！！ (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね！これからも応援してます！！！！！！！！！！ (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一 | 作者ホームページ：https://twitter.com/ninoma_e
作成日時：2018年11月10日 17時
